被害女性が語る「個人撮影AV」の闇 ギャラ50万円は支払われず、普通に会話できない撮影者が急増中

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契約書も交わしたのに

「カラミなしで50万円、プラス歩合というのに惹かれたのですが、結局ギャラは支払われませんでした」

 と証言するのは、同人AVへの出演歴がある瞳(28=仮名=)である。彼女はもとも夜の仕事をしていたが、コロナ禍でシフトが減らされ、収入が減っていた。そこで2年前に撮影に参加することになった。

「きっかけはSNSのフォロワーの女の子が“知り合いの男がモデルを募集している”と投稿していたことです。もちろんアダルトの撮影であることはわかっていました。惹かれたのは『即金』で、拘束時間が3時間ほどと短かったこと。商業作品じゃなく、一部の人しか見ない動画サイトで流すから、身バレもしない、というのもよかった。フォロワーの子がいちど撮影されていて変な人ではなかったというので、彼女を通じて撮影者の男性とLINEで連絡をとり、スリーサイズや写真などの情報を送り、審査を待ちました」

 合格となった瞳が待ち合わせ場所に指定されたのは、新幹線の駅がある関東の都市だった。

「往復の交通費は貰えましたね。駅前で待ち合わせて、そのまま近くのホテルへ車で行きました。30手前くらいの、モサい、細身の男の人でした。もう何本も同人AVを撮影していると言っていて、趣味というよりは副業だとも」

 事前に提示されていた条件は、出演料の50万円に加え、動画の売れ行きに応じ歩合で30%。一応モザイクで顔を隠すものの、撮影中、瞳はマスクを着用する。“エステティシャン”という設定で、服は脱がず、本番行為も行わないということも決められた。

「ベッドの周りに何台かのカメラを固定して撮影。撮影そのものは問題なく終わりました。彼曰く50万円のギャラは後で振り込まれるという話だったのですが……次の日から、撮影者の男性のLINEがブロックされてしまい、連絡がとれなくなってしまったのです」

 その時に交わした契約書があるというので、見せてもらった。〈乙は、本作品への出演に関し、甲の監督指示に従う〉〈双方の申請があれば、同意を取り消すことができる〉といった、それらしい文言が並んでいる。だが、肝心の署名欄には、印字された男の名があるだけ。住所もハンコもない、かなり杜撰なものだ。

「慌てて紹介者に連絡をとりましたが、その子も連絡がとれないと。配信前にモザイク処理をするという約束だったのですが、勝手に配信されたらどうしようと、しばらくは配信サイトをずっと監視していました。幸い、今もその動画は配信されていません」

 紹介者というフォロワーに瞳は実際に会ったことはないという。私が推察するに、このフォロワーも撮影者の男が作った成りすましアカウントなのだろう。勝手に販売していないところを見ると、目的は女性を騙して楽しむことなのだろうか。瞳に交通費だけは支払ったことを鑑みると、近場の風俗店で遊んだほうが安く済みそうなものだが……。

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