中国人民が次々と“ガーシー”化! 習近平政権を揺るがす「女性の顔面踏み付け暴行」事件の余波
市民が“ガーシー”化
事態を重視した中国の最高人民検察院(最高検)は13日、「民衆の安心に関わる暴力犯罪」は厳しく取り締まるよう指示。さらに22日には国家統計局が発表している、住民の意識や治安の良さなどを評価した「文明」度指数の上位を公表する“文明都市ランキング”から唐山市を削除する措置が取られた。
「ランキングからの削除は“中央政府も事件の解決に本気だ”とのメッセージと受け止められ、さらに“これで恐れることなく何を言ってもいいんだ”と、前代未聞の告発合戦が繰り広げられるキッカケとなりました」(田代氏)
事件から3週間近く経った現在、SNS上ではこれまで公にされなかった唐山市の腐敗や不正行為について、市民らが「公民証」と呼ばれる国家発行の顔写真入りの身分証明書を掲げ、実名・顔出しで告発するケースが急増している。
例えば、そのなかのひとつに、唐山市の役人が中学生の女の子をカネで買って性病をうつしたという告発がある。他にも唐山市の公安局の人間が裏から手を回し、児童買春に関わった40人以上の犯罪者が処罰を免れたケースの告発なども。
捨て身の告発の行方は
「少なくない数の人々が当局からの報復リスクを負ってまで、公然と告発に踏み切ったのは“このチャンスを逃すと不正を正す機会はもう来ない”との危機感からでしょう。自分の公民証を掲げることで告発の内容が真実であることを訴えているのです」(田代氏)
市民を動かしているのは“唐山の事件は氷山の一角”との共通認識からという。
最終的に暴行事件はどういう決着を見るのか。
「すでに全国的な話題となっているので、“腐敗撲滅”を掲げる習近平政権にとっても厳しく臨まざるを得なくなっていると思われます。秋には5年に1度の共産党大会が開かれ、新指導部が選出されるため、庶民の不満を鎮める“一罰百戒”の姿勢で処理に当たると見られています」(田代氏)
具体的には、今後の捜査を待って、疑惑を持たれている唐山市の警察幹部らの一斉摘発、さらに党籍剝奪や投獄の憂き目に遭う可能性が高いという。
「唐山の事件は国内の“発展格差”が巨大な中国の闇を象徴する事件です。中国に限った話ではありませんが、発展の遅れている田舎ほど反社会的組織が跋扈し、彼らと役人が結託するなどの腐敗も深刻な傾向がある。しかし現在の中国では、そういった悪しき文化や慣習をもはや許容しないという風潮が年々強まっています」(田代氏)
果たして、「ゼロコロナ」政策のように強権手法で“クリーンな社会”をつくれるのか。
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