皇宮警察が隠蔽した「中国人皇居侵入事件」 1時間にわたって皇居内を自由に徘徊
徘徊中国人は「相当危うい身元の人物」
もっとも、こんな失態がただで済むはずもなく、
「当時、国内の警備部門のトップである警察庁警備局長だった大石吉彦・警視総監は、ことの経緯を聞かされて激怒し、直ちに自ら皇居へ視察にやってきました。その後は箝口令(かんこうれい)が敷かれたまま本部長指揮事件として、特別警備隊の置かれている部屋に捜査本部が極秘で立ち上げられ、警視庁公安部も加わって捜査が進められました。今に至るまで、この事実は隠蔽され、本部内でも一握りの者しか知らされていません」(同)
当の徘徊中国人はその後、「警察的な観点から相当危うい身元の人物」(同)だと判明したというのだが、時すでに遅し。何より、立ち入り禁止のエリアにやすやすと侵入されてしまう警備態勢では、皇室の守護など担えまい。
なぜ実力不足?
一連の皇宮護衛官らの耳を疑う言動や、伏せられた数々の不祥事について、組織のトップである松本裕之・皇宮警察本部長に取材を試みると、
「(6月23日号の本誌記事は)読みました」
とした上で、
「私は個別には対応しませんので、広報を通して聞いていただけますか。では失礼します」
何とものんきなご回答で、念のため広報に問うても、
「事実関係の有無を含めてお答えを差し控えさせていただきたい」
続いて“中国人侵入事件”について警察庁に尋ねたところ、
「皇宮警察本部からお答えしている通りです」(広報室)
と言うばかりである。先のOBは、
「現在の皇宮警察は、とても警察としての実力はありません。侵入事件があっても捜査書類を作成できるのはほんの一握りで、さぼっている人間ばかりが目立つ。その実力不足の背景には“格差”をあおるシステムがあるのです」
そう指摘する。
幹部の好き嫌いで人事が決定
花形とされる護衛部門へは3~4割しか就けず、残る6~7割は定年まで警戒警備に携わったまま終わるという。それも能力や適性に見合った配属ではなく、冒頭の山口、池田両氏をはじめとする特定の幹部の好き嫌いで人事が決められてしまうのだから、おのずと閉鎖的な社会が形成されていくわけだ。
「護衛をする人間が偉い、警戒警備につく者は駄目だという風潮は根強くあります。現在、京都護衛署の幹部で、かつて秋篠宮家の護衛にも携わっていた人物など、立ち番勤務の者を車中から指さし、“あいつはバカだから、いい年してまだ立って警備しているんだ”とさげすんでいました。山口や池田など、本部内の人事に力を持つ連中にこびなければやっていけないのが実情なのです」(同)
そこかしこに生じた亀裂は、すでに巨大な地割れへと転じつつあるのだ。
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