皇宮警察が隠蔽した「中国人皇居侵入事件」 1時間にわたって皇居内を自由に徘徊
不正に侵入した部外者
さらにもう一つ、国家の安全保障をも揺るがしかねない“事件”が、人知れず皇居で起きていた。
「一昨年の10月19日、不審な中国人男性がおよそ1時間にわたって皇居内に侵入、自由に徘徊するという事案が発生しました」
とは、ある皇宮警察OB。
「この男性は当日、皇居内にある宮内庁書陵部が所蔵する資料の閲覧に訪れていました。ところが、本来なら利用者は最寄りの北桔橋(きたはねばし)門を通って皇居から退出すべきところ、男性は帰りに本丸から百人番所を経て、境界柵を不正に越えてしまったのです」
そこから、思いもよらぬ展開となった。
「車馬課の前を通って宮内庁庁舎へと入り込んだ彼は、地下の食堂で昼食までとっています。その後は、宮殿の西玄関から北庭へと抜け、盆栽の仕立て場である大道庭園へ。引き返したところ、ようやく賢所通用門近くの『吹上仲門』で身柄を確保されたのです」(同)
派出所の前を堂々と
途中、監視カメラが役立たなかっただけでなく、徘徊ルート上の庁舎近くには坂下護衛署の供溜(ともだまり)警備派出所が置かれていたにもかかわらず、護衛官はこの男性を確認することなく通していたというのだ。
「書陵部の閲覧者はバッジをつけることになっていますが、これを外せば宮内庁職員と見分けがつかない。だから、そのまま職員と勘違いしてスルーしてしまったのでしょう」(同)
何のための派出所なのかと嘆きたくもなるのだが、さらにまずいことに、
「身柄確保された男性は、その場で現行犯逮捕されませんでした。というのも、坂下署の警備課員が自己判断で、男性の徘徊したルートの“引き当たり”を行ってしまい、現行性が確保できなかったからです。結局、任意での事情聴取という形をとらざるを得ませんでした」(同)
ただの資料閲覧者が、興味本位からこうした行動をとるとは考えにくい。まずはスパイを疑うべきであろうが、あいにくその間、皇宮警察はハリボテと化していたのだった。
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