ヤクルト戦「魔の8回」でなぜ大勢を使わなかったのか【柴田勲のセブンアイズ】

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致命的な一敗

 まだ6月だというのに巨人の自力優勝の可能性が消えた。26日、神宮での首位・ヤクルト戦で乱打戦の末に敗れた。6月26日の自力V消滅は2003年の同27日を塗り替えて2リーグ制後球団史上最速だという。

 ヤクルトとのゲーム差はこれで「11」となった。前回の今コラムで「勝ち越しと負け越しではまるで違う」と記したが、勝ち越しがかかった一戦を落としたのは単なる一敗ではなく、「致命的な一敗」となった。

 こうなると私の経験上だが、どうしても諦めムードになってしまう。特にベテラン陣はわかるものだ。だが、応援してくれるファンのためにも原辰徳監督は選手たちのモチベーションを高めて戦うしかない。

 原監督は26日の試合後、自力V消滅に「我々はそういうことはね。やっぱりベストを尽くすだけです」とコメントしていたが、応援してくれるファンのためにも最後まで戦い抜く必要がある。

大勢を起用すればどうなるか

 24日は今季最悪の16失点を喫して大敗したが、25日は一転して今季最多の19安打で19得点を挙げて大勝した。それが26日は序盤の4点差を守り切れずシーソーゲームの展開から1点差で「競り負け」た。

 また「魔の8回」だった。

 8対8の同点で迎えたこの回、巨人は平内龍太を起用したが先頭打者をストレートの四球で歩かせたのをきっかけに1死一、三塁のピンチを招き、村上宗隆に勝ち越しの3ランを浴びた。

 ここは平内ではなく(翁田)大勢を使ってもよかった。確かに同点だったが、もともと先発・完投でやってきた投手だ。チーム事情もあって開幕からストッパーを任されてきた。なにも勝ちゲーム限定とか1イニングだけといった縛りはないはずだ。

 この29日に23歳となる。若い。2、3イニング投げてもなんの問題もない。22日のDeNA戦(東京ドーム)以来となり間隔も空いている。彼自身にとっても勉強になる。

 長いイニングを投げることで何人かに力を抜くことだってある。そのコツをつかむ機会にもなろう。

 まず四球で崩れることはない。球威、制球力……そしてなによりも巨人首脳陣が「この試合は絶対に落とせない」という意気込みを示すことになる。大勢を使ってどうなっていたか分からないが、また違った結果になっていた可能性が高いと思う。

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