7月ドラマ「期待の3作品」 キャスティングも脚本家も注目の「初恋の悪魔」は異色の刑事モノ
7月期ドラマが始まった。新作はプライム帯(午後7時~同11時)で期待値の高いドラマはどれか。特に推せる3作をご紹介したい。
【写真5枚】期待作で主演を務める「永野芽郁」 ドレス姿が美しい
日本テレビ「初恋の悪魔」(土曜午後10時)7月16日スタート
主演はともに若手演技派の林遣都(31)と仲野太賀(29)。やはり演技力では定評のある柄本佑(35)や大御所・田中裕子(67)が共演する。これ以上ないと言って良いくらいのキャスティングである。
脚本を書くのはフジテレビ系「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年)などの坂元裕二氏(55)。今、最も世界的に評価されている日本人脚本家だ。東京芸大大学院映画専攻の教授も務めている。
もっとも、いくらうまい俳優と立派な脚本家を揃えようが、それだけでドラマが成功するとは限らない。だが、この作品は設定が斬新で、面白そうなのだ。
物語の中心人物は境川警察署に所属する警察官たち。鹿浜鈴之介(林遣都)は刑事課に勤務するものの、現在は停職処分中。馬淵悠日(仲野太賀)は総務課の職員。交通安全ポスターの用意からコピー用紙の補充までしている。地味な仕事をこなしている。
小鳥琉夏(柄本佑)は会計課職員だ。一般企業の経理課のような仕事をしている。刑事ドラマの華やかな世界とは程遠い日々を送っていた。
もう1人の仲間が、松岡茉優(27)が演じる生活安全課の刑事・摘木星砂。今は万引きなどの捜査を担当しているものの、かつては県警本部の捜査1課に所属し、凶悪事件を担当していた。何かがあって1課を外されたようだ。
この4人で事件解決を目指すものの、うち3人は捜査権がない。さて、どうするつもりなのか。
ちなみに4人には出世欲がない。暑苦しい正義感も。追い求めているのは真実。プロの刑事たちとは違った視点で事件に切り込む。4人にはいつしか友情が芽生え、恋の華も咲く。
およそ警察ドラマらしからぬタイトル「初恋の悪魔」とは、どういう意味なのか。坂元作品だけに深い意味があるはず。最終回までには分かるだろう。
キャッチコピーは「小洒落てこじれたミステリアスコメディー ここに誕生!」。
坂元氏は硬質な作品が多いものの、コメディーも得意。天海祐希(54)主演のフジ「トップキャスター」(2006年)や「大豆田とわ子――」などがそう。今回も愉快な作品になりそうだ。
演出は水田伸生氏(63)。坂元氏とは「Mother」(2010年)、「Woman」(2013年)、「anone」(2018年)で組んでおり、気心が知れている。
この3作品に出演した田中裕子は元監察医で開業医の小洗杏月に扮する。
フジテレビ「テッパチ!」(水曜午後10時)7月6日スタート
ドラマ界内でかなり注目されている。まず「自衛官たちの青春」というテーマが新しい。
防大出身者や航空学生出身者らエリートではなく、2士になる前の自衛官候補生にスポットを当てる。災害派遣時に泥にまみれて住民を救う現場兵士の卵だ。エリートばかり描かれたって面白くないのである。
公立中学校出身者なら、同窓生に現役自衛官やOBが1人や2人、いるはず。平凡な同級生(元ヤンキーもいる)が、厳しい訓練によって大きく変わる。「国民のためなら命捨てます。そういう仕事ですから」と、サラッと口にするようになる。エリートの物語より、こちらのほうが興味深い。
主演は町田啓太(31)扮する国生宙。高校時代はラグビー部のエースだったが、独りよがりなプレーによってチームメイトから非難される。孤立したまま引退。高卒後は定職に就かず、その日暮らしだった。
その後、工事現場で働き始めたものの、ケンカで警察沙汰になり、クビに。家賃も滞納しアパートも追い出される。
そんな時、陸上自衛隊3等陸佐でリクルーターの八女純一(北村一輝 52)から自衛官候補生にスカウトされた。
「おまえにピッタリな仕事を紹介してやる! 寮完備で3食メシ付き。体力自慢のおまえには持ってこい!」
自衛隊あるあるだ。リアリティーに満ちている。
自衛官候補生になった宙はさまざまな仲間と出会う。音楽隊に憧れる馬場良成(佐野勇斗 24)、元ヤンキーの荒井竜次(佐藤寛太 26)、ガンマニアの丸山栄一(時任勇気 30)、かつて芸人を目指していた渡辺淳史(坂口涼太郎 31)。脱落組も出るだろが、大半は国防の人に変わるはずだ。
防衛省が全面協力する。このストーリーでOKを出したのだから、自衛官にやんちゃだった人がいるのを隠すつもりはないのだろう。
プロデューサーが栗原美和子氏(57)であるところもドラマ界内で話題になっている理由だ。かつて長瀬智也(43)主演の「ムコ殿」(2001年)など数々のヒット作を放った。太田亮常務(63)の右腕だった。
最近は子会社の共同テレビで管理職的な業務にあたっており、「テッパチ!」は約5年ぶりの現場復帰作となる。ちなみに漫画の原作がありそうだが、オリジナル作品だ。
次ページ:TBS「ユニコーンに乗って」(火曜午後10時)7月5日スタート
[1/2ページ]