「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」室越龍之介が語る街歩きと歴史学習の“意外”な共通点
歴史の勉強も街歩きと同じ?
歴史の勉強は少しこれに似ている。
本で語られる歴史的人物はやはりどこかイマジナリーだ。歴史に名前が残るぐらいだから偉大な人物として描かれる。あるいは、度を越した間抜けとして。業績として記される行動や決断にはどこか現実感がない。僕たちは歴史の結末を知っている。だから、アルマダ海戦に臨むエリザベス1世や桶狭間の戦いに備える織田信長の決断を歴史の必然として捉えてしまいがちだ。
しかし、何冊も本を読み、一緒に歴史調査をやっているチームのメンバーと話しているうちに、なんとなく、ある実感を持った像が結ばれてくる。ある春の東京散歩のように、一つの出来事、一つの決断を一緒に歩くことによって、歴史的人物が少し実体を持つ。その恐怖、その勇気を我が事のように感じられる瞬間がくる。その瞬間は少し楽しい。
東京の街は、僕にとって今でもイマジナリーな街だ。僕は、オレンジや黄色の電車に乗ったことがないし、それが何線なのかもわからない。どの地下鉄路線がより深いのか、どの街が山手線の内側で、どの街がそうでないのかもわからない。でも、多分、世界とはそういうものだし、街を知るには、街を歩くしかない。
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