騙し取った金は4億円!「国際ロマンス詐欺」で国際手配された「58歳日本人」の潜伏先

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419事件

 国際ロマンス詐欺はいつ頃から始まったのか。

「1980年代半ば、ナイジェリアで先進国の人を相手に手紙やFAXを使った詐欺が始まりました。ナイジェリアはイギリスの植民地だったため、第一母国語は英語です。それを使って語りかけてくるのです。この詐欺は関係者の間で419事件と呼ばれました。資金洗浄を規制する『ナイジェリア刑法419条』に抵触したからです」

 当初は、国際金融詐欺だったという。

「具体的には新しい鉱山が見つかった。その会社の未公開株を募集している、というような内容でした。それが10年ほど前からロマンス詐欺に変ったのです」

 勝丸氏は10年ほど前、アフリカのある国の日本大使館に外交官として勤務したことがある。

「その際、ナイジェリアの国際ロマンス詐欺グループを調べたことがあります。私が赴任した国に詐欺グループのアジトがあったので、地元の警察が捜査しました。日本人の被害者がいる可能性があったため、私も同行しました。アジトで押収したパソコンから東京にもメールを送信していることが判明しました。さらに調べていくと、六本木にも彼らの拠点があることが分かりました。すぐにその情報を警察庁に伝えました」

 ナイジェリア人が始めた国際ロマンス詐欺は、最近、ガーナ人やトルコ人も真似するようになったという。

「現在、森川は、ガーナにいるようです。彼は日本ではフリーターだったそうですが、国際ロマンス詐欺が儲かると思ってガーナに渡り、日本国内にいる詐欺グループに指示し、搾取した金をガーナへ送らせていたそうです。日本人がこの種の犯罪に関わるのは珍しいですね」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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