騙し取った金は4億円!「国際ロマンス詐欺」で国際手配された「58歳日本人」の潜伏先

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、今年5月、国際ロマンス詐欺で国際手配された日本人容疑者について聞いた。

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 5月18日、大阪府警は住所・職業不詳の森川光容疑者(58)を詐欺の容疑で国際手配し、顔写真も公開した。詐欺は詐欺でも、海外で働く医師や弁護士などを装って、SNS上で知り合った相手に恋愛感情を抱かせ、現金を騙し取る「国際ロマンス詐欺」である。

 すでに国内にいる日本人やガーナ人の詐欺グループ計15人は逮捕されている。このうち、森川を含め指定暴力団住吉会傘下組織の組長(今年2月に死亡)と神奈川県横浜市の防水工の男(52)が日本人である。

国境なき医師団の医師に

「森川は主犯格で、2016年から2021年にかけて、30~70代の男女65人から、計約3億9000万円を騙し取っています」

 と語るのは、勝丸氏。

 国際ロマンス詐欺は、最近日本でも広く知られるようになった。消費生活センターに寄せられた件数は、2019年度は全国で5件だったが、20年度は84件、21年度は192件と、3年間で40倍近くに急増している。

「日本人のSNS上にいきなり入ってきて、友人申請をしてくるのです。たとえば、国境なき医師団のアメリカ人医師に扮し、今、紛争地帯のレバノンにいますといって同情を誘うのです。ハンサムな医師の写真も送って来ます」

 日本人男性には、アフガニスタンの米軍女性兵士に装っていた例もある。

「1カ月ほど連絡を取り合って、相手に恋愛感情が芽生えてきた頃に、お金の話をし始めます。アメリカにいる親が亡くなって遺産が入るのだが、レバノンにいるので受け取れない。代わりに受け取ってもらえないか。遺産相続の手続きに30万円かかるのだが、と言って騙すのです。恋に落ちているので、疑いもせず振込んでしまうのです」

 今回検挙された森川の詐欺グループは、どんな人物を装ったのか。

「国際弁護士や国連の医師、在日米軍基地に勤務する女性看護師などに扮していました。国際弁護士に扮した犯人は、世界中のクライアントと会っていますと言って、自分の仕事をアピールして相手に信じ込ませていました」

 女性看護師に扮した犯人は、「あなたは私と結婚するつもりですか」「あなたはどれくらい真剣ですか?」「日本に来て、サイトに参加してからは、あなたしかいないのです」とメッセージを送って来るという。サイトにはわざわざ通訳者をつけ、犯人が英語でメッセージを送ると、日本語に翻訳。逆に日本語でメッセージを送ると、英語に翻訳してくれる仕組みになっている。

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