野球選手の妻たちが明かす「勝負レシピ」 疲労回復に効く「特製豚汁」、勝率が上がる秘伝のおかずのレシピとは

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血液の状態が劇的に改善

 巨人や北海道日本ハム、横浜DeNAで活躍した林昌範さん(38)がそうだった。市立船橋高校時代はメジャーリーグのスカウトの目にとまるほどの好投手。

 02年に巨人に入団して05年からはリリーフで使われ、年間50~60試合投げるうちに肘痛を発症。その頃テレビ東京アナウンサーだった亀井京子さん(39)と出会う。

「当時は左腕の中継ぎがいないので、手術を先延ばしにして、さらに痛み止めを打って投げているという状態でしたね」

 手術をするも回復が芳しくなく、「現役を続けられるのはあと1~2年か」と言う人もいた。血液検査を受けると、タンパク質が足りていないため傷の修復が進まないと指摘された。

 07年、元投手コーチの鹿取義隆さん宅に婚約のあいさつに行った時、栄養を考えたたくさんの手料理と夫人の言葉に心を動かされた。

「私はマウンドには上がれない。力になれるのは食事のサポートぐらい」

 その言葉に触発され、京子さんはテレビ局を退職し、スポーツ栄養学に詳しい栄養士・前田聖子(しょうこ)さんに、基礎から指導してもらった。

「まずスーパーでの買い物の仕方。例えば鶏肉ではむね肉かささみ、ベーコンもショルダーなど脂身の少ないものを選ぶ。タンパク質を取り込みやすくするためにビタミンB6が豊富な鶏肉、レバー、赤身の魚を取ることなど、最初は手取り足取り、私が考えたメニューをチェックしてもらい、前田さんにフィードバックしてもらいました」

〈食べることがトレーニング〉と栄養士に言われ、3カ月間、食事を徹底的に改善し、夫の血液の状態が変わるかを試した。栄養士と二人三脚で努力すると、3カ月後には血液の検査値が劇的に改善。傷の治りも順調で、09年には移籍した北海道日本ハムで優勝に貢献した。

カツオ節、イワシ節はパワーフード

 中継ぎゆえ連日の登板となることもあるので、疲労回復に努めた。そのためによく作ったのはタンパク質と野菜がたくさん取れる豚汁。豚肉1キロ弱に大根1本、ニンジン3本、こんにゃく2枚、長ネギ2本。適宜ゴボウや椎茸、タマネギを入れた。

「豚肉のビタミンB1やタマネギに含まれるアリシンがエネルギー代謝を高めてくれるので、疲労回復も助けてくれます。体を冷やすサラダより温野菜がいいし、ビタミンが煮汁に溶け出すのもいい。これがわが家の勝負メシだったのかも」

 豚汁には、京子さん曰く“パワーフード”のカツオ節やイワシ節を振りかけた。低カロリーなのにタンパク質やミネラルが豊富で、鉄分補給に効果的なのだ。アスリートは汗と一緒に鉄分も流れ出るので、貧血になりやすいからだ。ミネラル不足で足などがつることもあった。

 豚汁が飽きないように、練りごまを入れて“味変”することも。疲労回復や抗酸化作用もあるし、コクや風味が増す。

 栄養士の助言でタウリンを豊富に含むタコ、ホタテなど貝類を酢の物にした。

「多くのタンパク質を代謝する時に肝臓が疲れてしまうので、タウリンで回復させるそうです」

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