自己啓発書より「自分の人生の周期」を頼るべき? 12年周期で人生の転機が(中川淳一郎)

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 おまじない、かつ、コジツケにもほどがある!と言いたくなるものですが、意外と人生においては「重要な周期」ってあるのでは、とも感じるんですよ。干支が私の場合ではそれにあたり、いわゆる「年男」の年に自分の人生を大きく好転させる何かが発生しているように思えます。これがあると、多少、人生が下向いていたとしても「あと〇年耐えればまたいいことがあるはずだ」と思えるようになり、救いが生まれます。こんな感じでした。

 1985年(12歳):前年の夏休み、九州の祖母の家へ一人で1カ月滞在したところ、34キロだった体重が49キロに激増。そのまま年末まで食べ続け、57キロに。新年を迎えダイエットを決意。1年で42キロまで落として中学入学時は標準的な体重に。以後、「絶対にデブにはなりたくない!」思想が定着し、暴食は避けるように。

 1997年(24歳):小中高校大学の勉強時期を経て会社入社。

 2009年(36歳):初めて本が売れて仕事が殺到するように。現在の配偶者と出会う。

 2021年(48歳):前年11月、東京から唐津へ移住して実質的に初めての年。新たな土地で別の基盤を作った。ようやく穏やかな仕事ぶりになった。

 他の年にも時々人生を大きく変えることはあったものの、こうしてキレイに年男の年にいろいろと人生がガラリと変わってきたのです。

 これに似たことはジャーナリストの津田大介さんも言っていたことです。彼は「ライターになった」「ネット分野に注力するようになった」「本を出した」「メルマガを開始した」「配信を開始した」「大学で教鞭を執った」「TVによく出るようになった」などが3年おきにあり、以前会った時「来年がその次の3年目になるから、また変わると思う」と言っていました。

 そして、アストロロジャー&スピリチュアリストの來夢さんと、経営コンサルタントの神田昌典さんは「春夏秋冬理論」を提唱しましたが、これの意味は「人生は、12年でひとサイクルする成長カーブの連続」とのこと。「導入期」=「冬」、「成長期」=「春」、「成熟期」=「夏」、「衰退期」=「秋」ということだそうです。各3年の四季を経ることで人生のありようが分かるとのこと。

 私自身自己啓発書やビジネス書は一切読みません。自分が暗黙知で理解しているものを言語化できない人が読む類の本だと思っているので。しかし、この「春夏秋冬理論」は、まさに津田さんと私の感覚を掛け合わせた論に合致するものです。

 こじつけでもなんでもいいですが、自分なりの「法則」を作るとラクに生きられるかもしれません。たとえば「西日本出身者と私は気が合う」等の人間関係でもいいですし、「午前中に仕事の大半を終わらせればその日の午後と夜を幸せに過ごせる」とか……。

 あと、私自身「2番手と合う法則」を完成させました。業界最大手企業とは合わないんですよ。就職活動の時は広告業界No.1の電通は書類で落選するもNo.2の博報堂は内定獲得。IT系仕事では当時No.1のライブドアではなくNo.2のサイバーエージェントと深い関係に。そして講談社ではなく小学館、文藝春秋ではなく新潮社と、といった具合です。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2022年6月23日号掲載

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