「岸田vs安倍」防衛事務次官をめぐる人事の攻防と「桜を見る会」に関する情報戦

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安倍氏の敗北

 ところで、新しい次官となる鈴木氏が就いていた防衛装備庁長官はいわゆる上がりポストだ。そこからの昇格は初めてのことだし、両者は同期で、2代続けて同期が次官となるのも初めて。ないない尽くしの人事はどこか無理筋な印象も否めない。

「これまで主要な人事について岸田さんは安倍さんに前もって根回ししたり直に相談したりして、かなり配慮してきました。今回もそれなりに気を配っている印象はありますが、徐々に安倍離れというか、“安倍さんにはもう少し静かにしていてほしい”という思いが募っていたと思われます」(先の関係者)

 さらに安倍氏側に不利に働いたのが、「桜を見る会」をめぐって流れた情報だ。

「先日、サントリーホールディングスが3年にわたって酒類をタダで提供していたことが報じられました。この件で安倍氏やサントリー側は政治資金規正法違反容疑で東京地検に刑事告訴された。その告発状を受理するように栗生氏が積極的に動いているのではないかとの情報が流れました。真偽のほどは定かではありませんが、結果として栗生氏、そして岸田官邸の意向通りに進んだのは間違いありません」(同)

 栗生氏は前警察庁長官で、安倍氏が寵愛した同じ警察官僚の北村滋前国家安全局長とは犬猿の仲。「アンチ安倍」的な動きをすることは織り込み済みだったとはいえ、安倍氏の思い通りにいかなかったことは事実だろう。

デイリー新潮編集部

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