議論沸騰「共同親権問題」 あの「行列」の顔「北村晴男弁護士」が本気で取り組むワケ

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夫婦喧嘩でも……

――法務省の法制審が公開しようとしている試案の、どの点が問題なのでしょうか。

「まず、一番の問題は、父親と母親が合意したら共同親権を認める、という点です。『子供を元配偶者に合わせたくない』という親は合意しませんから、この制度ではこれまで同様、不幸な子供、不幸な親、絶望する祖父母を生み出し続けることになります。原則共同親権とする制度にしないと全く意味がない。そして二つ目は、監護権と親権を切り離したうえで、監護は単独で行います、というところ。監護、つまり、一緒に住んで見守る権利は一方にしか与えられない。そして、子供がどこに住むかを決める居所指定権も、監護権に付与する、と。こうなってしまうと、これは、今問題になっている“子の連れ去り”を合法化するための巧妙な仕掛けです。しかもですよ、その監護権を、婚姻中にもどちらか片方に付与することができるように議論を進めている節がある。夫婦喧嘩をし、かっとなったどちらかが訴えると、監護権を片方にのみ設定できるわけで、現行法よりもさらに早く親子関係を破壊する可能性が高い」

子供の幸せに責任を

――北村先生たちが提案している試案について教えてください。

「まず、離婚後も原則共同親権とします。未成年の子供がいる夫婦が離婚をする場合、子供を父母がそれぞれどういう割合で監護するかなどについて具体的に定めた計画、『共同監護計画』の提出を義務付けよう、というのが基本です。離婚する二人の事情は様々ですから、多様な場面に対応可能なガイドラインも作成します。当然ながら、DV被害者を守るための制度設計も重要ですからそれについても十分に検討しています。

 さらに、我々が提案しているのは、離婚するのであれば、子供の心理について講座を設けるので勉強してください、と。例えば、片親疎外症候群というのですが、一泊二日で父親の元に行き、母親のところに帰って来たとします。そして子供が『楽しかったよ』と報告したときに、母親が顔を曇らせると、大好きな父親を嫌いにならなければいけない心理状況に追い込まれることになる。その結果本当に父親を毛嫌いするようになるケースもある。そうした複雑な心理環境に子供を追い込むのは子の虐待に等しい。そういうことをきちんと勉強して、共同監護をしましょう、ということです。親の都合で離婚するわけですから、それによる子供への精神的負担を出来る限り軽減し、子供の幸せに最大限責任をもちましょうよ、と。共同親権を導入している先進国の制度を参考に、作成しました。どちらの案が、子供の幸せ、親の幸せに結びつくかは火を見るより明らかだと私は思っています」

 二つの試案は、法改正にどのような影響を及ぼすか――。

デイリー新潮編集部

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