1軍昇格の中田翔を原監督はなぜスタメンで起用しなかったのか【柴田勲のセブンアイズ】

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中田翔のスタメン起用なし

 やはりこんな時は一人一人が自分のできるプレーをしっかりとやることだ。1軍に昇格した中田翔は3試合スタメン出場がなかった。原辰徳監督は、「速い球を打てない」、中田をこう見ているのだろう。起用するのは増田陸だ。

 増田陸の方が「打てそうな感じがする」と判断しているのだ。事実、思い切りのいい打撃で結果を出してアピールし続けている。中田は代打で打席に立ったら、速い球に対応できる姿を見せなきゃならない。

 中田は丸佳浩、岡本和真、坂本勇人とは違い、外せない選手ではない。レギュラーを取れないのは自己責任だ。中田だけではない。全員が肝に銘じる必要がある。

 岡本和にしてもたまに一発は出ても、いまの打率・2割4分ちょっとは寂しい。せめて2割8分はほしい。でないと巨人の得点能力は上がらない。

 まあ何度でも言うが、1番・丸、3番・吉川尚輝はどうかと思う。原監督はまだ続けている。役割分担を考えたら、足のある吉川尚が1番に最適だろう。ここまで落ち込んだのだから打線の組み方を再考した方がいい。

 王道というかノーマルというか。なにを躊躇しているのか。クビをかしげる。

投手たちの活躍

 ところで18日にオリックスの山本由伸投手が無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)を達成した。今季はロッテの佐々木朗希投手が4月10日に完全試合を成し遂げ、ソフトバンク・東浜巨、DeNA・今永昇太がノーヒットノーランを達成している。

 1シーズンに4人が達成するのは2リーグ制となって初めてのことだという。

 今年は「投高打低」の傾向が強いと思っていたがこれには驚いた。投手たちの実力・技量・能力がここ数年飛躍的にアップしているということなのだろう。

 以前は球速にしても150キロ以上を出す投手は少なかったが、いまはどこのチームにもいる。球種が増えたし、それを操れる投手も多い。落ちるボールが主流でもある。

 対照的に現在、3割打者は両リーグともに3人ずつだ。全体的に打撃陣の層が薄くなってきたということなのか。

 今季はこれで打ち止めと見ているが、さあ、どうなるか……。

 さて巨人だ。ヤクルトにこれ以上離されては苦しくなる一方だ。DeNA戦で弾みをつけて週末の神宮決戦に臨んでもらいたい。勝ち越しと負け越しではまるで違う。

(成績は20日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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