天台宗の座主に97歳が選出のナゾ どうやって選ばれる?
1200年以上の歴史を持つ天台宗の総本山・比叡山延暦寺は、開祖の最澄だけでなく、親鸞、法然、日蓮ら他宗派の開祖も輩出したことから「仏教の母山」と呼ばれている。5月31日、その延暦寺で天台宗の新しいトップの就任を披露する「伝燈相承式(でんとうそうじょうしき)」が営まれた。儀式に臨んだのは、第258世座主(ざす)の大樹孝啓(おおきこうけい)大僧正。御年97歳である。
「座主猊下は、天台宗のすべての僧侶の頂点に立っており、比叡山延暦寺の住職も兼ねています。人事や財務などの実務は宗務庁が担いますが、座主猊下の承認が必要です」(天台宗務庁総務課の担当者)
それにしても、97歳にしてトップに就任するというのは、他の世界ではあまり聞いたことがない。いったいどうやって選ばれるのだろうか。
雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏が解説する。
「明治以前の天台座主には皇子などの皇族、あるいは藤原家など天皇家と近い人間が就いていました。僧侶から選ばれるようになったのは近代以降のことです。ただし、天台宗は京都の毘沙門堂門跡や妙法院、日光の輪王寺といった大寺院が名を連ねている。まず、そこで住職クラスにのぼり詰めた高僧でなければなりません。企業でいえば社長や会長でしょうか。しかも、これは“第一関門”です」
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