「僕は不倫されても当然なのか」 幸せな結婚生活を暗転させた、年上再婚妻のあり得ない一言
盗み見た妻のLINEにあったのは…
希実さんは翌日も、さらにその翌日も、つまり3日続けて泥酔して帰宅。さすがに矩之さんも黙っていられなかった。
「3日目は帰るなり号泣していました。いったいどうしたんだ、何があったんだと心配したんです。すると希実は、何でもないと言いながらさらに号泣。泣き疲れて眠ったんですが、横に置いてあったスマホにふわっと文字が浮かび上がった。LINEのメッセージが見えました。『嫌いになったわけじゃないから』と。彼女のパスワードは子どもたちの誕生日を組み合わせたものだと知っていたので、初めてスマホを見てしまいました。罪悪感はあったけど、ここまできたら知りたい気持ちのほうが強かった」
LINEのやりとりを見た彼は、息が浅くなり、胸が苦しくてたまらなくなった。そこにあったのはホストらしい男と妻の粘っこい会話だった。
「男が妻に『お店に来てよー、僕のことが好きならたくさん飲んでほしい』と訴え、それを妻がよしよしと受け入れている。うちは娘ふたりだったから、希実は『息子がいたら、家庭の状況も変わってたよね、きっと。息子を育ててみたかった』と言ったこともありました。ホストは息子くらいの年齢ですよ。どのくらい入れあげているのかわからないけど、希実の心の中で、何か箍が外れてしまったのではないかと不安がよぎりました」
親としての責任を果たし、燃え尽き症候群になったのだろうか。だが希実さんは、むしろ子どもの独立を喜び、自分の人生を満喫していたはず。ホストクラブに行くのも、解放された妻たちの娯楽にすぎないのではないか。
「僕も最初はそう思ったんですよ。ただ、翌日は日曜日でふたりとも仕事は休みだった。ぐったりしている希実に、僕は『言いたいことはないの?』と聞いてみました。希実は『何が?』とか『何でもない』とか言っていましたが、最後にはまた泣き出して……。どうやらホストにはまったのは本当でした。しかも彼女は本気だった。ただ、最近はお気に入りのホストがもっとお金を遣ってくれる女性に夢中になっているようで、それがショックだったと。相手は商売なんだから、本気になるなよと言うしかありませんでした。若い女性がアイドルに夢中になるような感じにしか思えなかったので、そのときはあまり深刻に受け止めなかったんですよ、僕は。『お金は大丈夫なの?』と聞いたら、そんなに貢いではいないと」
若いホストと妻が性的な関係を持っているとも思えなかったし、矩之さんはとがめなかった。それは妻を心から愛しているからだと彼は言う。妻の自由を阻害したくなかった、妻にもそのくらいの恋心を抱く自由はあるはずだから、と。
「だけどそれから半年後、妻が不倫しているとわかりました。相手はホストじゃなかった。希実が勤めていた歯科の患者でした。ある日、会社に電話がかかってきて、『今、あなたの奥さんが私の夫と一緒にホテルにいます。私はホテルに行きますが、どうしますか』と言われて。 よくわからなかったけど、とりあえず行くと答えた自分がいました。探偵事務所の人と電話をしてきた女性と落ち合って、ホテルのロビーで待っていると、妻と男がエレベーターから降りてきた。女性は一直線に夫のところへ走っていきました。彼女は希実を殴りつけ、夫を引きずるようにして行ってしまった。希実は呆然と立っていました。その後、僕に気づいて走り去ろうとしたので腕をつかんで引き止めたんです。彼女は静かに泣いていました」
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