「僕は不倫されても当然なのか」 幸せな結婚生活を暗転させた、年上再婚妻のあり得ない一言

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「パパと呼ばなくていい」

 その彼女にはずいぶん恨まれたが、それでも希実さんへの思いが強く、とても他の人と結婚する気持ちにはなれなかったという。だからといって、希実さんとの関係が一気に縮まったわけでもない。

「希実と再会してから半年ほどたったころ、『僕との将来を考えてみてくれない?』と希実に告げました。彼女、びっくりしていましたね。近所に住んでいた年下の『のりちゃん』がいきなり、そんなことを言ったから。僕もふたりの子どもの父親になる覚悟もまだできていなかったので、将来を見据えてつきあっていこうと言ったんです」

 言われて初めて、希実さんは彼を男として意識したらしい。連休を使って、子どもたちと上京してくることもあった。最初は“ママのお友だち”として昼間、一緒に遊園地などに行って遊ぶだけ。夕飯は希実さんと子どもたちだけでとる。何度か会って慣れたら夕飯も一緒にとる。そしていつもはホテルに泊まっていた母子が矩之さんの自宅に泊まったのは、つきあうようになって1年近くたっていた。そのころには子どもたちも、彼を“のりちゃん”と呼ぶようになっていた。

「それからしばらくして、長女が僕と遊びながら、『ここに住みたい』と言い出したんです。そうしようかと言ったら、次女も喜んで飛び跳ねて。転校になるぞと言うと、『のりちゃんとママがいるなら大丈夫だよ』とふたりとも笑みを浮かべました」

 再会してから2年半ほどかけて、ようやく結婚にこぎつけた。矩之さんは最初から、12歳と11歳の娘たちに「パパと呼ばなくていい。今まで通り、のりちゃんでいい」と子どもたちに告げた。気楽に、誰もが何でも隠さずに話せる家庭を作りたかった。

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