筋トレブームの火付け役が「1日15分しかしない」理由 60歳までに筋トレを始めるべき?

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10回から30回でも十分な効果が

 では、何回くらいやればいいのか。強い負荷を掛けるのは大事ですが、2回や3回しかできない負荷では刺激の回数が少なすぎます。強い負荷では行うのが大変ですし、けがのリスクも高い。一方で負荷を小さくして回数を増やす方法は、軽くしすぎると1回あたりの刺激が足りません。時間も掛かってしまいます。研究上では、10回から30回くらいの範囲で筋肉を大きく発達させる十分な効果が得られることが分かっています。このくらいの範囲でしっかり追い込むのがひとつのガイドラインといえます。なお、体感としてのしんどさを分析した我々の研究では10~30回の範囲では20回くらいが一番実践しやすいという結果が出ています。

 適切な頻度はケースバイケースですが、筋トレ翌日は回復にあてると考えると、一回一回をしっかりとやりきるのであれば週2、3回でも構わないと思います。

 こうして「適切な筋トレ」を学んでみると、老いも若きも関係なく、適切に自らの身体を鍛えて、健康に生きていこうという気力が漲(みなぎ)ってきませんか? そんなあなたに、いま一度前向きなパワーフレーズを贈りたいと思います。

〈筋トレはやろうと思ったら1秒後に始められますよ〉

谷本道哉(たにもとみちや)
順天堂大学先任准教授。1972年生まれ。大阪大学工学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。国立健康・栄養研究所特別研究員、近畿大学准教授などを経て現職。NHK「みんなで筋肉体操」での超前向きな筋トレ解説が話題に。『学術的に「正しい」若い体のつくり方』など著書多数。

週刊新潮 2022年6月16日号掲載

特別読物「1秒後に始められますよ! NHK『みんなで筋肉体操』の先生が説く『80歳の壁』を越えるための『前向き筋トレ』」より

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