ファイティング原田が78歳で再会したライバル リモート会談でジャブを打ち続けた理由は?(小林信也)

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ジャブの応酬

「渡米しての再会はコロナ禍もあってかないませんでした。代わりにブラジルからロスにきたジョフレとリモートで会談しました」(石井)

 21年10月、ジョフレ85歳、原田78歳での再会。

 周囲が促すと、ジョフレはスッとファイティング・ポーズを取り、構えた左の拳を小刻みに動かし始めた。素早いテンポでジャブを出し、時折、右を交ぜた。原田もジャブで応酬する。石井とともに対談実現に尽力した共同通信の津江章二が教えてくれた。

「会談の間中ずっと、ジョフレはジャブを打ち続けていた。原田さんもジャブを出し続けていた」

 石井も回想する。

「原田さんになぜ? と聞いたら、『ジョフレがやめない限り、こっちが先にやめたら負けになる』って」

 友好ムードの再会でも、ふたりにとっては『因縁の対決』。闘った者同士にしかわからない勝負はまだ続いているのかもしれない。

小林信也(こばやし・のぶや)
1956年新潟県長岡市生まれ。高校まで野球部で投手。慶應大学法学部卒。大学ではフリスビーに熱中し、日本代表として世界選手権出場。ディスクゴルフ日本選手権優勝。「ナンバー」編集部等を経て独立。『高校野球が危ない!』『長嶋茂雄 永遠伝説』など著書多数。

週刊新潮 2022年6月16日号掲載

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