コロナ給付金詐欺、申請代行業者が語った“手口” 自主返還が急増する背景は
申請コンサルタントが語る内実
「私はキャバクラ嬢や飲食店関係者などの申請のコンサルタントをしていました。報酬は給付金の10%で、100万円なら10万円です。全部で200件ほど担当しました」
と、内実を語るのは持続化給付金の申請代行を行っていたさる業者である。
「キャバクラの女の子は税金のことをまったくわかっておらず、確定申告をしたことがないという子も多かった。あくまでそのお手伝いという形でした」
支払調書すら持っていない人も多かったそうで、
「その場合、大体どれくらいの収入かを聞いて、申告してもらいました。で、確定申告が終わると、個人事業主として持続化給付金の申請を行います。当然、売上台帳などを彼女たちがつけているわけではないので、こちらで会計ソフトを用いて作ります。キャバクラはコロナ禍で閉店していた店が多く、売り上げが半減という条件は容易にクリアできました。飲食店などの場合でも売掛金をどの月で計上するか、などで給付金の条件に合う売り上げを作ることは可能でした」(同)
「ITリテラシーが低いと…」
しかし、20年の9月からは状況が一変する。経産省からの委託先がそれまでの一般社団法人サービスデザイン推進協議会から、コンサルティング会社のデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに変更となったからだ。
先の代行業者が続ける。
「取引先への請求書、報酬の振込明細などを事務局から求められるようになりました。キャバクラ嬢だと現金で報酬をもらっている人もいて、審査に通らない事例も出てきたのです」
持続化給付金の申請期間が終了すると、今年の1月から6月までは後継制度の事業復活支援金が設けられた。そこでは持続化給付金の反省を踏まえ、商工会議所や税理士などの機関に書類の事前確認を依頼しなければならなくなり、審査も厳しくなった。最初からこうしていれば事態は防げたかもしれないが、当然、支援金を受け取れない人も出てくる。
サン共同税理士法人代表で税理士の朝倉歩氏の解説。
「持続化給付金は電子申請で、サポート会場があったとはいえ、ITリテラシーが低いと受給できないという問題がありました。さらに、税理士などの事前確認が必要になると、顧問税理士がいない人はどうすればいいのか、となる。審査や手続きを厳しくしたことで、受給者を足切りしてしまった面はあると思います」
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