ゼレンスキーをどこまで無条件に支援すべきか 強硬路線一辺倒に内外から出始めた異論

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同情を一身に集めているが…

 今年10月の大統領選挙で返り咲きが確実視されているブラジルのルーラ氏は5月上旬「連日のように世界各地のテレビで演説し、拍手喝采を受けているゼレンスキー大統領も戦争を望んだと言える。そうでなければ同国の北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けた動きに反対するロシアに譲歩したはずだ。交渉を重ねて紛争を回避すべきだったゼレンスキー大統領にもプーチン大統領と同等の責任がある」と述べている。西側諸国で生活しているとわかりづらいが、国際社会ではこのような見解が案外有力なのかもしれない。

 国際社会の同情を一身に集めているウクライナだが、世界に冠たる汚職大国である点も見逃せない。政治の素人だったゼレンスキー大統領は「汚職撲滅」をスローガンに掲げて2019年に大統領となったが、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は昨年「ゼレンスキー大統領は英国領バージン諸島にペーパーカンパニーを設立し、就任後2年間で8億5000万ドルの蓄財をなした」ことを公表した。オランダの民間団体が作成した「組織犯罪汚職報告書」によれば、「ゼレンスキー大統領の資産はロシアの侵攻後も毎月1億ドルのペースで増加している」という。これらの指摘が正しいとすれば、ゼレンスキー大統領も「同じ穴の狢」だと言われても仕方がないだろう。

 ウクライナの政界筋からも驚くべき情報が届いている。ゼレンスキー大統領は侵攻直後、ロシア軍による暗殺を警戒していたが、今ではウクライナ軍による暗殺の方を恐れているというのだ。ゼレンスキー大統領はこのところ連日のように東部地域に赴き、前線の兵士を鼓舞しているが、軍司令部内で「大統領自身が指示する作戦ではいたずらに犠牲者が増えるだけだ」との不満がこれまでになく高まっているようだ。ゼレンスキー大統領は自らの強硬路線を嫌う西側諸国の特殊部隊に暗殺されることにも警戒しているという。

 真偽のほどは定かではないが、極度の緊張状態が続く中でゼレンスキー大統領の精神が深刻な状態になっている可能性は排除できない。西側諸国はウクライナに対して是々非々で臨む時期に来ているのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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