防衛費5兆円増でも…自衛隊員から「財務省に殺される」という悲鳴が上がる現実

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装甲車を青空駐車

 ウクライナ侵攻により、先進国間で“二極化”が進むのではと懸念する声がある。

 北大西洋条約機構(NATO)の加盟国や支持国はウクライナ支援で団結する一方、覇権主義や“反NATO・反米”を掲げるロシアと中国は関係を深めている。

 明日にでもロシアや中国が日本を侵略する可能性は低いにしても、両国が日本に対して軍事的な威圧を強めているのは間違いない。

 また、台湾有事の場合は決して絵空事ではない。北朝鮮の瀬戸際外交や挑発行為はエスカレートするばかりだ。日本が東アジアにおけるプレゼンスを高めるためにも、防衛力増強が急務であることは言うまでもない。

 防衛省は対中防衛の一環として、鹿児島県の馬毛島から沖縄県の石垣島を結ぶ線を“防衛ライン”として捉え、ミサイル部隊など駐屯地の建設に着手している。

 日本防衛における“最前線”だが、ここでも取材をすると切実な悲鳴が聞こえてくるという。

「沖縄県内の駐屯地では部隊の車両車庫まで予算が回らず、装甲車なども青空駐車で塩害に悩まされています。野ざらしだと車両の劣化が早く、整備に手間を取られてしまう。ただでさえ人手不足なのに、余計な作業が増えて困っているそうです。『防衛費が増額されるなら、車両の車庫が欲しいですね』とのことでした」(同・軍事ジャーナリスト)

「掩体壕」の重要性

 装甲車の駐車場に屋根がないというのも困った話だが、これが軍用機となると、国防上の大問題に発展してしまう。

「航空自衛隊の基地には、ほとんど『掩体(えんたい)壕』がないのです。『掩体』とも呼ばれますが、平たく言えば“軍用機用の防空壕”です。格納庫が鉄骨で作られるのに対し、掩体壕は鉄筋コンクリートです。青森県の三沢基地など、いくつかの基地では掩体壕が整備されていますが、全くないという基地も珍しくありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 ロイターは20年8月、「日本の脆弱な航空機および艦艇の地上防護態勢【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」の記事を配信した。

《空自の掩体壕は、三沢基地で2個飛行隊40機分、千歳基地及び小松基地において1個飛行隊20機分が確保されているだけで、その他の7つの基地では全くの未整備である》

 掩体壕は本来、爆弾やミサイルなどによる攻撃に耐える必要がある。だが、現場はそんな“贅沢”な性能を求めているわけではないという。

「戦争が勃発すれば、敵軍は真っ先に航空基地を襲い、制空権の奪取を狙うのは常識中の常識です。そして、現代の軍用機は精密機械の固まりです。敵ミサイルが基地内に着弾爆発したら、飛び散った無数の破片が周りの味方機に損害を与える可能性が懸念されているのです」(同・軍事ジャーナリスト)

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