年間千人超の子どもが失踪 「知らない人についていってはダメ」は逆効果?
誘拐現場に共通する特徴
熊取町の行方不明現場を視察した、立正大学の小宮信夫教授(犯罪学)の話。
「友梨さんが通っていた小学校の校長先生に案内していただいた際、先生は“こんなに危険のない場所でいなくなったんです”と話していました。ただ、私からみると非常に危なく誘拐されやすい道に感じられました。道の両側に高い塀や生け垣が続き、近隣住民の視線が届かない場所が多かった。見慣れた景色にも犯罪の起きやすい場所は潜んでいるのです」
誘拐現場に共通する特徴は「入りやすく、見えにくい」のだと続ける。
「1990年に9歳の少女が誘拐された新潟少女監禁事件の現場は見晴らしのいい農道でした。でも、周囲に家の窓がないので、そこは見えにくい場所でした。また、住宅街でもガードレールがない道は車での連れ去りが容易なので、入りやすい場所です。そうした危険な場所を地域安全マップのような形で可視化することが大事です」
好奇心の強さ故に…
誘拐でなくとも、子どもが迷子になってしまい、事件や事故につながるケースも。
松蔭大学コミュニケーション文化学部の深谷野亜(のあ)教授が解説する。
「幼児期は好奇心が強い時期でもあり、ご飯を食べている途中に寝てしまう赤ちゃんのように、興味が湧くと集中するあまり、体力の限界まで続けてしまうという特徴があります。その先に“死”があることを理解できず、蝶々や犬に興味を持つと歩けなくなるまでついていってしまうのです」
幼児から目を離さないのは言わずもがな、小学生の子どもでも、その行動は大人が把握すべきだと説く。
「共働き家庭が増え、子どもが一人の時間はどうしてもできてしまいます。ですから、学童保育などを含め常に大人が子どもを見守る社会を作ることが肝要です」(同)
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