退場になった選手が登場も……ファンが仰天した“まさかのヒーローインタビュー”3選

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「代打」インタビュー

 試合に出場していない控え選手がヒーローの代役としてお立ち台に上がる珍場面が見られたのが、16年6月2日の西武対DeNA戦である。西武の先発・高橋光成は、毎回奪三振11、4安打1失点で2試合連続の完投勝利を収めた。

 当然、試合後のヒーローインタビューは高橋になるはずだったが、9回に最後の打者・筒香嘉智の打球を左足すねに当て、アイシング治療中だったため、急きょ外野手の熊代聖人が代役を務めることになった。

 明るい性格でチームのムードメーカーでもある熊代なら、うまくその場を取り持ってくれるだろうという理由からだが、熊代は期待以上のパフォーマンスを披露する。

 一緒にお立ち台に上がった捕手・炭谷銀仁朗から「熊代に光成の感想を言ってもらいたいと思います」と促されると、「そうですね。完封したかったですけどね。最後(9回)、ちょっと点を取られてしまって悔しかったですけど、久々にこういう声援が聞けてうれしいです。(お立ち台は)やっぱり何回立っても気持ちいいですね。(DeNAと1勝1敗で)勝ち越しが任された日だったので、その日にこういうピッチングができて、本当にうれしく思います。最後(打球直撃の)アクシデントがあったんですけど、何とか皆様の前に立ちたいなと思って、今(痛みを)我慢して立っています」と、すっかり本人になりきって大熱演。

“面白過ぎる代打インタビュー”にスタンドは沸きに沸いた。さらに、お立ち台を降りた後も、熊代はプレートとボールに「こうな♯17」と勝利のサインを代筆し、炭谷とお揃いで手を挙げながら、最後までファンの声援に応えるという徹底ぶりだった。

“なりすましインタビュー”にすっかりお株を奪われた高橋も「熊代さんにいいインタビューをしていただいた。言いたかったことはまったく同じでした」と脱帽するばかりだった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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