43歳暴走族リーダーVS.神奈川県警「コツコツやるしかない…」暴走族対策室室長が語る捜査の内幕

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「旧車會」と自称する暴走族の横暴ぶりに注目が集まっている。きっかけは、神奈川県内最大級の暴走族「川崎宮軍団」(以下、軍団)の摘発だった。逮捕されたリーダーが43歳の「おっさん暴走族」だったことに世間は衝撃を受けたが、なぜこのような迷惑行為は一向になくならないのか。捜査を指揮した神奈川県警暴走族対策室長に、暴走族捜査の難しさについて語ってもらった。

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腕にみっしり入ったタトゥー

「これを見るのが一番わかりやすいです」

 神奈川県警庁舎の6階に入る「交通部交通捜査課暴走族対策室」。記者が「暴走族と旧車會の違い」について尋ねると、室長はある実話誌の記事を指し示した。

 見開きのカラーページに、黒のTシャツをまとった若者たち数十人の集合写真が載っている。見るからにガラが悪い。中央でただ一人白いTシャツで、これ見よがしに刺青入りの腕を組んでカメラを睨みつける人物こそ、今回、「道路交通法違反」(共同危険行為)と「神奈川県暴走族追放促進条例違反」容疑で逮捕された藤井敏容疑者(43)である。

「彼は若い頃、暴走族として活動していたと言われています。ちゃんと法律を守って旧車に乗る愛好家グループもいる一方、このようにいかにも暴走族という出で立ちで、公道に広がったり、蛇行しながら集団走行する大人たちが近年、増加傾向にあるのです。乗っているバイクも違います。愛好家たちの乗っている旧車はノーマルなタイプ。一方、法に反する走行をする者たちは、後ろに三段シートと呼ばれる派手な装飾をつけたり、半キャップのヘルメットを被り暴走族と変わらない格好をしています」(同)

今も県内に1000人以上

 神奈川県警が把握している暴走族は昨年末時点で653人。全盛期だった1992年の約4800人に比べれば減少傾向にあるが、

「これには旧車會はカウントされていません。暴走族は少年たちで構成されたグループを指します。暴走族とカウントされるべき『旧車會』メンバーを加えると、1000人を超えると思います」(同)

 軍団が結成されたのは2019年3月頃。立ち上げ時は、川崎地区を中心とした9グループ約100人だった。現在、対策室が把握しているのは19グループ約400人。4年かけて、彼らは横浜、湘南、隣接する都内のグループを引き込み、徐々に勢力を拡大してきた。現役の少年暴走族グループともつるんでいるという。

 会費は3000円。お手頃感が勢力拡大の“秘訣”なのか。集会は月1ペースで行われ、県民からの通報が入るたび対策室は出動してきた。今回立件されたのは、昨年10月の容疑だ。なぜもっと前から暴走行為が繰り返されてきたはずなのに、なぜ摘発までこんなに時間がかかったのだろうか。

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