「愛され高齢者」の共通点は? ヒントは女優・樹木希林さんの死に際

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無理に老いに抵抗する必要はない

 また品格があると思わせる高齢者の多くは、老いを素直に受け入れているのも特徴のひとつです。

 もちろん体が動くうちは筋肉を鍛えたり、食事に気を使ったりして老いに対抗することは大切です。とはいえ、80歳を過ぎた頃には、認知機能の衰えや筋肉量の低下などあらがえない衰えがあなたを襲います。

 これに無理に対抗しようとしてけがをしてしまっては元も子もないですし、ましてや見えを張って「年寄り扱いするな!」と言い散らかせば、周りから見放されてしまうでしょう。

 歩くのが大変なら無理せず杖や車イスに頼る、声が聞こえにくいなら補聴器を使う。利用できるものを最大限使えば、逆に行動範囲はぐんと広がり楽しみは増えます。老いを受け入れることで、結果として若々しく快活な日々を過ごせるようになるのです。

 アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズは、すい臓がんにかかり、手術などの治療に40億円ほどかけたといわれています。しかし、結局は完治させることはできずに亡くなってしまいました。もちろん治療することで治る病気もありますが、もはやどうしようもない病というものもあるのは揺るぎない事実で、老いも同様だといえます。

 いくら多額のお金をかけても老いはやってきますし、その先には必ず死が待っています。運命にあらがいながら死を迎えるよりは、自ずと自分の老いを認めて堂々と残りの人生を謳歌したほうがよいと私は考えます。

知識をひけらかしても意味がない

「亀の甲より年の功」ということわざがありますが、ここ最近では新型コロナほど老人の見識が問われた出来事はありません。感染の不安をあおるメディアの報道を真に受けて、過度に不安に感じてしまう高齢者が多かったと思います。

 もちろんコロナを「正しく恐れる」ことは大切ですが、周囲との接触を極端に避けることでストレスがたまり、ちょっとしたことでも怒ってしまったりする。

 こうした姿は周囲から見れば気持ちの良いものではありません。誰しも不安に苛まれておどおどしている人や、イライラしている人の近くにいたいとは思いませんよね。巷に溢れる感染情報をさまざまな角度から客観視できる「賢さ」があれば、過度に恐れることもなく周囲から疎まれる行動をとることもないでしょう。

 若い人が高齢者に求めるものは、「だてに年を取ってないな」と思わせる「知恵者」の姿だと思います。

 今の時代、スマホを使えば大抵のことはすぐ分かってしまいますから、いくら知識をひけらかしてもただの物知りでは意味がない。

 では、どうすればいいのか。知識を得るにはまず勉強だと本を読む方もいるでしょうけれど、インプットよりもアウトプットが大切だと思うのです。前提となる知識を取り入れることは大切なのですが、すでに高齢者の皆さんはそれまでの人生で得てきた豊富な「経験」をインプットしています。

 そうした蓄積を武器に「どうすれば相手に伝わるか」「面白がってくれるか」といったアウトプットの予行演習を繰り返せば、脳への刺激になります。

 具体的な応用例として、ある老人が、世間で話題になっている「格差社会」の議論に参加したとします。そこで「競争意識が損なわれるから格差は必要だ」という主張がされているのを聞いたとしましょう。

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