巨人・中田翔、2度目の二軍落ち 首脳陣の「本音と建前」が「豆腐メンタル」を直撃
プロ野球の巨人・中田翔(33)が迷走している。大幅に体重を増やして臨んだ今季は「5番・一塁」で開幕スタメンを勝ち取るも、成績は振るわず4月22日に首の不調などから選手登録抹消。その後、二軍でホームランを量産するなど格の違いを見せつけて5月10日に一軍再昇格を果たすと、同14日の中日戦に逆転満塁本塁打で勝利に貢献。同28日には慣れ親しんだ札幌ドームで古巣・日本ハムから9回に試合を決める「12球団制覇」となる本塁打を放った。完全復活が期待されたものの、結局は出場機会に恵まれないまま状態は上がらず、6日に2度目の二軍落ちとなった。なぜこうも調子が安定しないのか。
外野守備練習
「原監督ら首脳陣の『本音と建前』が、中田選手の精神面に悪影響を与え、調子を狂わせているのではないか」。ある巨人関係者はこう推測する。「本音と建前」。どういうことか。
5月21日と22日の甲子園球場。24日からの交流戦を目前に控えた試合前練習で、一塁手として高い守備力を誇る中田は、2日連続で外野の守備練習に参加していた。原監督らは報道陣に対し、「(中田は)外野経験もあるし、色々な意味合いの中で」と外野起用の可能性を臭わせた。
交流戦のパ・リーグ本拠地のゲームでは、普段とは違ってDHありのオーダーを組むことになる。「左翼手・中田」と攻撃的な新オーダーを組むなど、「チームとしての選択肢を増やす」という意味合いでは、中田の外野守備練習は、一見すると周囲からも前向きに受け止められていた。
だが、交流戦に突入後、実際に中田が外野手として出場する機会は全くなかった。さらに、一塁のポジションは、5月31日ソフトバンク戦から起用された増田陸(21)が活躍。中田は一塁手としての出場機会も完全に失い、出番は代打での途中出場ばかりになった。一塁手として開幕スタメン出場した名手からすると、もちろん外野守備を無難にこなすことはできるだろう。が、豪快なバッティングが魅力の中田は、決して「ユーティリティープレイヤー」を目指しているわけではないはずだ。
首脳陣が久々に台頭した生え抜きの若手である増田陸を起用したいと考えるのは当然だが、本来は中田に「一塁手1本」で増田と競わせるか、死に者狂いでバットをふらせ、「代打スペシャリスト」の役割を担うよう説くのが筋だったのではなかっただろうか。
「一塁は増田陸で中田は代打要員」。首脳陣の本音はこうだったのかもしれない。プライドの高い中田に配慮したつもりで、外野手としての出場に含みを持たせたが、あくまでこれは「建前」にすぎないのではないか。長年球界で活躍してきたスラッガーには、首脳陣の本音が垣間見え、精神面に悪影響が及び、中途半端な代打出場で調子を落としていったのだろう。
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