吉田輝星、聖地・甲子園でなぜいま先発? 中継ぎ専念に向けビッグボスの深い思惑

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適性は明らかにリリーフ

 吉田は七回の登板が定番となり、日本ハムの「勝利の方程式」では不可欠の存在となった。

 元NPB監督は、「リリーフで直球の質が格段に上がった。藤川の教えで、肘を上げたことでボールの真上からスピンがかかるようになった。ただ、やはり先発では回を追うと球質が落ちる。緩急による投球術もなく、実際に阪神打線は二回り目ではアジャストした。このままなら吉田の適性は明らかにリリーフ。新庄監督もそう思っているだろう」と言い切る。

 その上で、今回の先発起用に、吉田の将来を見据えた指揮官の深謀遠慮が見え隠れすると指摘する。

「5日の阪神戦の試合前、集客が見込める日曜日に吉田を先発させるのはファンサービスだと強調していた。一方で、六回までノーヒットノーランでも交代と言っていた。長いイニングが持たないことは分かっていたのだろう。だからこそ、翌日に試合がなく、他の投手を総動員できる日曜日に起用した。チームの勝利のためリスク管理をしながら、吉田には先発と決別させる狙いがあったのではないか」

 大山が本塁打を放った瞬間、ベンチの新庄監督が映し出された。この結末も予感していたのか、どこか納得したように拍手で敵の主砲の打撃を称えた。

 高校時代、ドラフト1位でプロに入るまでに吉田の評価を高めた甲子園。月日は流れ、リリーフこそがプロで生き残る道である現実を突きつけた。そして聖地は吉田の野球人生で、またもターニングポイントになるのかもしれない。

津浦集(つうら・しゅう)
スポーツライター

デイリー新潮編集部

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