インドネシアで逮捕の“10億円詐欺”谷口容疑者 親密だった「地元教師」は何者?大統領に繋がる人脈も

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不動産、石油発掘など他業種に従事

 谷口容疑者は、以前はインドネシアで不動産関連や石油発掘、太陽光発電などのビジネスに携わったことがあるという。しかしいずれも成功せず、近年は漁業投資家を名乗ってインドネシア人から投資を募っていた。

 また日本の報道では、出会い系アプリを通じて谷口容疑者と知り合ったという日本人女性の話として、大統領側近と写った写真を持っていた、スマトラ州の州政府幹部を接待したと本人が語っていたというのが紹介されていた。

 もしこれが事実とするなら州幹部や大統領につながる知人のネットワークを谷口容疑者が持っていたことになる。ただ、ジョコ・ウィドド大統領は以前まで一般市民との触れ合いを重視して集会や催しに積極的に参加し、誰とでも写真を撮っていた。大統領側近も大統領に習えと写真撮影には積極的で、特に相手が外国人となれば積極的に応じていただろう。こうした例に照らせば「大統領側近との写真」も、谷口容疑者の人脈の広さを示すものにはならないとみられている。

 州政府幹部の接待にしても、たまたまパーティなどの席で一緒になっただけの可能性もある。ただ、谷口容疑者がそうした写真を用意していたのは納得できる。インドネシア人、特に地方在住者は、「殿上人」である大統領の側近や州政府幹部との親しそうな関係を示されると、単純に尊敬して信用する傾向があるからだ。谷口容疑者はそうした市民感覚を利用してきたのではないか。

日本への移送、逮捕へ

 日本国内で指名手配された谷口容疑者は、海外への逃亡が明らかになった時点で「国際刑事警察機構(ICPO)」から国際指名手配を受け、関連情報、顔写真などがインドネシア警察に伝えられ、捜査が本格化していた。国家警察は、谷口容疑者の消息に関する有益な情報が得られたとして、6月初めには「逮捕は時間の問題」と言い切っていた。

 谷口容疑者にしても、インドネシアでビザの裏付けもあることから普段通りの活動をして油断していたとみられている。

 今後、日本に身柄を送られ不正受給容疑で逮捕されることになる。日本とインドネシアの間には犯罪人引渡条約がないため、両国の関係当局による協議を経て引き渡しが実現するものとみられており、現在は両国の関係者や大使館員が手続きなどを急いでいる。

大塚智彦(在インドネシアライター)

デイリー新潮編集部

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