パワハラは認定されず「愛媛農業アイドル自殺訴訟」で原告の遺族が敗訴 「誹謗中傷に苦しんだ3年半」を事務所社長が告白
制服キャンセルでいいんやろ?
そして、夜が明け、萌景さんが自殺した当日を迎える。原告側から証拠として提出された、翌朝8時過ぎに交わされた萌景さんと母とのLINEのやりとりでも高校進学をめぐるやりとりが続いている。なぜ同居している母と娘が朝からLINEを交わしているかというと、前の晩、萌景さんは恋人の家に外泊したからである。
〈おはよ!〉
〈どうやっていく…?〉
こう今後について、母親に問う萌景さん。ちなみにこの日の午前中には進学予定だった全日制高校の説明会が行われていて、萌景さんは恋人と一緒に出席する予定だった。だが、母親の回答は冷たかった。
〈どこに?〉
〈定時か通信にしたんやろ?〉
〈制服キャンセルでいいんやろ?〉
このやり取りから程なくして、萌景さんは自宅で自ら命を絶ってしまうのである。
はたして、萌景さんは本心から進学を諦めたのだろうか。被告代理人もこの点を母親に繰り返し尋ねた。
被告代理人 あなたはB高校(萌景さんが進学したがっていた全日制高校)を辞退しようという話をしたときに、萌景さんはその話を受け入れると思っていたんですか。
母親 別に私はそうとは思っていなくて、彼女の性格上、「ママどにかならん」って言ってくるかなって思ったんですけど、そんなこともなくあっさりと、「うん、ほやね、その方がいいよね」って言ったことにびっくりもしました。
被告代理人 じゃあ、あなたが辞退しようと言ったときには、もしかしたらあなたは萌景さんは辞退したくない、B高校に行きたいと思ってるかもしれないと考えていたということですか。
母親 はい。
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