「知床遊覧船」“黒幕”コンサルタントの正体 経費節減をアドバイスか

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 北海道知床沖で26人を乗せた観光船が沈んでから1カ月余り。依然として、12人の行方は分からぬままで、波濤に消えた命は二度と戻って来ない。社長の責任が免れ得ないのは当然として、惨事を引き起こした“黒幕”は別にいるというのだ。

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 海保は先月28日、観光船を押収した際に、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)立ち会いの下、現場検証を実施している。

 社会部記者が言う。

「海保が船舶事故の捜査で船体を押収するのは稀です。それだけ問題を重く見ているんです。桂田社長については業務上過失致死の容疑で捜査中ですが、陸と違って海の事故は痕跡に乏しく、証拠固めには時間がかかりそうです」

 捜査に手間取り、事故の全容解明も遅々として進まぬこの事案には実は、社長以外にもう一人キーマンと目されている人物がいる。

経営多角化路線は小山氏の“指導”

 知床遊覧船の関係者の話。

「桂田社長はあるコンサルタントに心酔していて、ほとんど言いなりのような状態でした。事故の“原因”を作った人間ですよ」

 その人物とは小山昇氏。株式会社武蔵野の代表取締役であり、著作も複数ある経営コンサルタントだ。

 小山氏自身、桂田社長との関係について、ダイヤモンド・オンラインの記事(2018年4月1日付)で次のように語っている。

〈桂田精一社長は有名百貨店で個展を行うほどの元陶芸家で、突然ホテル経営を任され、右も左もわからないド素人。(中略)観光船が売り出されたとき、私は、「値切ってはダメ! 言い値で買いなさい」と指導した〉

 記事中、小山氏は桂田社長にホテルの買収も勧めたとも語っている。経営多角化路線が小山氏の“指導”の下で展開されたのだ。

「観光船の母体である宿泊業は16年まではインバウンドによる収益もあって、業績は好調でした。ですが、17年になると一転、ホテルを買い増したことにより、収益環境が悪化し、欠損を計上するに至ります。小山氏の指導に従った結果、桂田社長はコストカットの必要に迫られ、ベテラン船長たちを解雇しなければいけなくなったのです」(前出・社会部記者)

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