世界最高齢で太平洋横断の83歳「堀江謙一さん」 帰港セレモニーで希望通りに「ビール」を飲めなかったワケ
ビールを期待したのに……
先のセレモニーでは、堀江さんはスポンサーのサントリーの幹部と「モルツ」の大きな看板を持って写真撮影タイム。ところが司会の女性に「ビールは自宅に送ります」と言われ、渡されたのが冷えたペットボトルの水だった。ゴール間近になって「上陸したらまずビールを飲みたいと話している」という記事が出ていた。会見で筆者は「本当はビールが欲しかったのでは?」と訊いた。堀江さんが「そうなんです」と答えると、会場は爆笑。
「世界一周の時はギンギンに冷えたビールもらって飲んだんですよ。スマートになってしまったのかな。期待しとったんですが……」と残念そう。偉業を達成した堀江さんがヨットを背にビールをおいしそうに飲む姿は、どんな俳優に演じさせるよりも最高のCMカットになったはずなのに。と思ったが後日、事務局の担当者に聞くと、最近は酒類のPRについて規制が極めて厳しくなり、船から降りたばかりの83歳の男性にビールを飲ませる光景はまずいなどの判断でサントリーも断念したという。
冒険家と言われるのは嬉しい
2005年6月、東回りの単独無寄港世界一周に成功した直後、筆者は堀江さんを単独インタビューした。
その時、堀江さんは「冒険家と呼ばれるのは嬉しい褒め言葉ですね。ピアニストが芸術家と言われるようなもんですね。僕はソロセーラー、ヨットマンでしかない。あくまでヨットはスポーツと思っています。だから、自分からは冒険家という言葉は使いませんが」と話していた。会見でそれを紹介し、現在の考えを聞くと堀江さんは、逆にこちらに「どう思われますか?」と聞いてきた。「堀江さんが冒険家でないのなら世の中、冒険家なんていないと思います」と答えると、堀江さんは「ヨットマンと思っていますが冒険家と言われるのは嬉しい。でも自分からは言わないのは今も変わりません」と答えてくれた。
早速、単独インタビューを申し込んだ。翌日(6日)位はゆっくり休むとばかり思ったら担当者が「明日朝応じます」と連絡してきた。なんというタフさ。こちらが慌てた。
[2/3ページ]