「代わりますよ、と言ったのですが…」同僚が証言 すき家で「ワンオペ」女性従業員が死亡

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14年以降も深夜帯以外は改善されず

 罪深い「ワンオペ」はまだ続いていたのか。すき家の回答は大要、こうだ。

〈当社では2014年以降、深夜帯(0時~5時)の複数勤務体制を徹底し、現在に至っています。深夜帯のあと、午前5時以降の朝帯(~9時)で現在、複数勤務体制で営業している店舗は、平日は約6割、休日は約8割となっています〉

 つまり、14年以後も、「ワンオペ」が解消されたのは深夜帯のみで、他の時間帯はまだそれが常態化していたというわけだ。

 同社はこうも言う。

〈すき家では従業員の安全を守るため、本部に緊急通報ができる「ワイヤレス非常ボタン」を身に着けることを義務化しています〉

 そして中井さんは当日、残念ながらこのボタンを装着していなかったと説明するが、仮に装着していたとして、突然の発作でボタンを押す余裕が彼女にあったかは疑わしい。すき家は女性の死亡が報じられたことを受け、「今月中に全店舗で午前5時から午前9時のワンオペ勤務を廃止する」と改善策を発表したが、

「この件を聞いても、過重労働回避、安全配慮という点で、すき家の意識はまだまだ足りないと思います」

 とは、同社を巡る労働事案で、労働者側の代理人を務めたこともある、佐々木亮弁護士である。

「結局、すき家はワンオペを完全に無くしたわけではなかった。しかし、あの店の広さで、調理も提供も会計も一人で行うことは無理ですよ。今の店舗数と飲食業界の人手不足などを考えると、24時間営業をやめるなどの改革がないと、ワンオペの完全解消は難しいですね」

 果たして同社にそれが決断できるか。金と人命。どちらを優先させるべきかを考えれば、その答えは自ずと明らかなのだが――。

 ちなみに同業他社にもワンオペ勤務の実態があるのか聞いてみた。吉野家は「一定数存在する」、松屋からは回答が来なかった。

週刊新潮 2022年6月9日号掲載

ワイド特集「そのニュースには『裏』がある」より

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