インコを避妊具に入れ虐待、なおも不審死は止まず… 逮捕された30代男性と対峙したドキュメンタリー
2019年7月、愛知県・名古屋市に住む無職の男が、飼っていたインコを虐待した動物愛護法違反の疑いで逮捕された。罰金20万円の判決が下されるに至ったが、その後も男の周囲ではインコの不審死が続いていた――。このたび配信公開された映画『動物愛護法』は、動物虐待犯と対峙し、法の矛盾を突くドキュメンタリー作品だ。
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【写真】〈手塩にかけて育てたインコを食べてみたい…〉男が投稿していた異様なツイート&インタビューの様子
制作したのは、アジア圏での犬食事情に切り込んだ『アジア犬肉紀行』などの作品がある北田直俊監督。『動物愛護法』は2017年から撮影を始め、およそ4年をかけて完成させた。
北田監督が語る。
「当時、私は無農薬農業についての作品を撮るために山梨で暮らしていたのですが、その頃、埼玉県に住む税理士の男が猫を虐待し逮捕される事件が起きました。事件に衝撃を受け、農業の作品の撮影を一度止め、裁判のたびに東京地裁に通うことにしたのです。この時初めて、ネット上に『黒ムツ』と呼ばれる動物虐待の愛好家たちが一定数いることを知ったのです(※黒ムツ=黒いムツゴロウの意)。」
「埼玉連続猫虐殺事件」として知られるこの事件では、男は捕獲した野良猫をゲージに閉じ込め、熱湯をかける、ガスバーナーで炙るといった所業を行い、さらにその動画をネットにアップしていた。虐待死した猫は少なくとも13匹にのぼるとされる。男への実刑判決を求める署名が全国から20万筆が集まったが、下された判決は懲役1年10ヵ月、執行猶予4年というものだった。
「それは軽すぎるだろう、と怒りが湧き、動物虐待をテーマにした作品を撮ろうと決意しました。ただ、どういったものにしたらいいかは手探りで。虐待事件が起きるたびに現地に赴き、取材するというのを繰り返していったのです」
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