ラミレスが語る「400本のホームランの中で最も印象に残る一打」 藤川球児を得意としていた理由は?(小林信也)

  • ブックマーク

藤川球児の2球目

 ラミレスは、外国人枠で入団した選手で初めて通算2000本安打を達成。巨人時代に2年連続MVPにも輝いた。助っ人史上最強ともいえる強打者。他の打者との違いは何か? 尋ねると、

「データ分析」

 すぐに答えが返ってきた。快速球で強打者をも苦しめた藤川球児(阪神)を「得意にしていた理由もそこにある」とラミレスは言う。

「藤川の投球パターンはずっと同じ。初球はインハイにストレート。これは打てない。最初それを打ったらキャッチャーフライだった。でも2球目は打ちやすいボールが来る。僕はそれを狙って、かなり打たせてもらった」

 日本で打った400本近いホームランの中で、最も印象に残る一打は?

「日本シリーズのサヨナラホームランかな。西武の岡本(真也)から打った」

 2008年のシリーズ第2戦。2対2の9回裏1死。

「岡本が中日にいた時はあまり打てなかった。フォークを多投するのはわかっていたから、フォークが甘い高さに来るのを待っていた」

 1ボールからの2球目。真ん中高めからフォークが落ちて来た。ラミレスはこれを逃さなかった。打った直後に右手を突き上げた。実況アナウンサーは、「これが4番だ!」と絶叫した。

「サヨナラもそうだけど、岡本のフォークを打った、それがうれしかった」

小林信也(こばやし・のぶや)
1956年新潟県長岡市生まれ。高校まで野球部で投手。慶應大学法学部卒。大学ではフリスビーに熱中し、日本代表として世界選手権出場。ディスクゴルフ日本選手権優勝。「ナンバー」編集部等を経て独立。『高校野球が危ない!』『長嶋茂雄 永遠伝説』など著書多数。

週刊新潮 2022年6月2日号掲載

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。