「フィンランド」「スウェーデン」のNATO加盟に反対するトルコ 背後にロシア諜報機関
ロシアに接近するトルコ
その一方で、トルコは西側諸国と摩擦が生じている。
2014年7月、イスラム原理主義武装勢力「イスラム国家(IS)」がクルド人の居住地であるシリア北部のコバニを侵攻、市街地を支配下に置いた。それに対し、アメリカ軍がIS拠点の空爆を開始。PKKの武装集団であるクルド人民防衛隊(YPG)もISを攻撃。2015年1月、YPGがISを撃退し、コバニを奪還した。
「ところが2019年、トルコがYPGに対して大規模な掃討作戦を行ったため、西側諸国がトルコへの武器輸出を制限する制裁を科したのです。フィンランドとスウェーデも制裁に加わっています。今回、トルコがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対しているのは、西側諸国を牽制する意味合いもありました」
そのため、トルコはロシアに接近することになったのだ。
「トルコは昨年、ロシア製の新型地対空ミサイルS―400の導入を発表しています。これに対しアメリカは、トルコにF35戦闘機のライセンス販売を中断しました」
さて、フィンランドとスウェーデンによるNATOへの加盟申請の影響で、EUやNATOの本部があるブリュッセルに各国のスパイが集結しているという。
「ロシアのウクライナ侵攻から増えてきましたが、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請でスパイの数はさらに増えているそうです。NATOの動きが今後のウクライナ侵攻に大きな影響を与えるため、情報を入手しようとしているわけです。一説によると、ロシアは200人以上、中国は250人以上、アメリカは300人の諜報機関の関係者を送り込んでいるとされています」
EUやNATO本部近くのレストランやカフェでは、盗撮や盗聴が当たり前になっているという。
「世間話しかできません。ブリュッセル市中、いつ盗撮、盗聴されるかわからないので、日本の大使館員は外食をせず、弁当を持参しているそうです。第二次世界大戦直後のウィーンと同じですよ。オーストリアは戦後ドイツと分離され、米・英・仏・ソの4カ国の管理下になりました。東西冷戦の境界線上にあったので、ウィーンにスパイが集結していました」
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