「朝起きられない」の原因は副腎疲労の可能性が エナジードリンクは逆効果?

ドクター新潮 健康 その他

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夕方以降は元気に見えるのに、朝は異常に疲労が

 したがって、副腎疲労の症状で最も多いのが、冒頭で触れた朝起きられないというものであり、また、多くの患者さんが不眠や睡眠の質の低さに悩んでいます。朝にたくさん分泌されるはずのコルチゾールが分泌されず、眠る準備を始めなければならない夜に過剰に分泌されるのだから当然です。

 朝起きられず、昼はエネルギー不足で、夕方からはコルチゾール値が徐々に上がって元気になる。そして夜はコルチゾール値が高すぎて眠れない。つまり、夕方以降は元気に見えるのに、朝は異常に疲れている。ゆえに、自身だけでなく周囲からも「怠け」と誤解を招いてしまうのが副腎疲労の恐ろしいところです。また、コルチゾールの分泌量が朝から晩までずっと低いままの人も、一日中、覇気が感じられず、やはり「怠け」と思われてしまいます。

 この不眠症状に加えて、先ほど説明したように副腎疲労の症状がうつ病などと似ていることから、精神科に行き、睡眠薬を処方してもらう方もいます。薬を飲むことで確かに眠りやすくはなるでしょうが、夜間、コルチゾール値が異常に高くなっている状態には変わりがないので眠りの質は相変わらず低いまま。根本的な解決にはつながりません。むしろ、症状が改善しないために薬の量がどんどん増え、副作用のリスクが高まる悪循環に陥ってしまう危険もあります。

最も恐ろしい症状は「脳の萎縮」

 副腎疲労のその他の症状としては、アレルギー症状が挙げられます。紹介したようにコルチゾールには抗炎症作用があり、体内で分泌されるステロイドでもあります。そのため、コルチゾールの分泌量が減ると、アレルギーの炎症を抑えることができなくなるケースがあるのです。

 また、それほど好きではなかったのに、甘い物や塩辛い物を好むようになるケースもよく見られます。血糖値を維持して何とかエネルギーを確保しようと体が反応するため甘い物を欲しがるようになる。さらに、コルチゾールは体内の塩分を調節する機能も持っています。そのためコルチゾール値が低下すると、体内の塩分が足りなくなり、体の外から塩分を摂取しようと体が反応するのです。

 そして最も恐ろしい症状が脳の萎縮です。コルチゾールの大量分泌が続くと、骨や筋肉の分解が進み、ひいては記憶を司る海馬の萎縮をもたらし、記憶力の低下を招く。疲れは取れても、記憶力がなかなか回復しないという患者さんもいるほどです。

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