パラグアイ戦で見えてきた日本代表“攻撃陣の序列” 久保建英には厳しい現実
攻守に躍動した堂安
そうした観点から見えてきたのは、繰り返しになるが森保ジャパンにおける序列である。
まず絶対的な1トップの大迫勇也はコンディション不良で代表を辞退した。彼の代わりにセルティックで急成長した古橋亨梧や、鹿島で3年連続二けたゴールを決め、大迫に似たタイプのオールラウンダーと言われる上田綺世より、ロシアW杯予選でも活躍し、代表34試合で6ゴールという結果を残した浅野をスタメンに起用した。
右FWは伊東純也の独壇場だが、パラグアイ戦ではオランダリーグで結果を残した堂安を起用。
同じく左FWは合流したばかりの南野拓実に代わり、出場試合は多くてもノーゴールの前田大然ではなく、2ゴールを決めている三笘薫をスタメンで起用した。
インサイドハーフも守田の代わりに攻守にハードワークのできる原口元気を起用したのは予想通りだが、田中碧をベンチに置き鎌田大地を抜擢したのは、慎重なはずの森保監督にしては大胆な起用と言える。
やはりEL(欧州リーグ)で優勝に貢献した鎌田のプレーを見たかったのだろう。
そして結論から言うと、これだけ攻守に躍動し、輝く堂安を見たのは初めてであり新鮮な発見だった。
三笘薫も相手を翻弄
これまでの堂安は、ゴールという結果を出したいため、時には強引なカットインからの左足シュートに固執していた。
しかしパラグアイ戦では肩の力が抜け、ヒールキックでのパスや、タテにドリブル突破するなど状況に応じてプレーを選択。守備でも身体を張り、原口元気とのコンビで強度の高いディフェンス力を発揮した。
PKを外したのは“ご愛敬”として、堂安の台頭で右FWは伊東とのポジション争いがガゼン白熱してきた。
そしてこのことは、後半26分に堂安と交代で出場したものの、これといった見せ場を作れなかった久保建英が右FWでは「3番手」であることを露呈する結果となった。
カタールW杯の登録メンバー23名に食い込むためには、残り3試合でかなりのアピールが必要だ。
左FWの三笘もゴールという結果だけでなく、得意のスピードと変幻自在のドリブル突破でパラグアイを翻弄した。
相手がユニホームを引っ張ろうとしても追いつけないドリブルは、南野にはない武器である。
スタメンはもちろんのこと、試合終盤の「ジョーカー」としても“計算のできる”左FWであることを証明した。
この三笘と堂安は、交代でもいいからブラジル戦でのプレーを見たいと思わせる活躍だった。
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