「元彼の遺言状」は綾瀬はるかの“ムダ遣い”? 月9の脱・ラブコメ路線は本当に吉なのか

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前クールの「ミステリと言う勿れ」ヒットとの違い 今期ドラマの鬼門は「男女バディもの」?

 原作モノかつ非恋愛ドラマという点では、前クールの「ミステリと言う勿れ」があった。主演の菅田将暉さんは原作とイメージが違うという声はあったものの、全体的には好意的な評価が多かった。視聴率も2桁をキープし、月9の脱・恋愛ドラマという試みは成功したように見える。

 成功の要因は、原作に忠実だったからではないか。つまり、謎解きにきちんと主眼が置かれていたということだ。あえてケチをつけるならば、伊藤沙莉さん演じる風呂光刑事がほのかな恋愛要素を見せたキャラ改変には疑問の声が上がった。ただ原作ファンからのブーイングの大きさを察してか、恋愛要素は広がることなく最終話を迎えている。

「元彼」に話を戻すと、確かに綾瀬さんと大泉さんなら、彼らのかけあいに時間を割きたくなるのもわかる。だから謎解きは二の次になり、コメディーとしてもミステリーとしても薄味な印象になっているのではないか。ミステリーでも評価が対照的なのは、TBS「マイファミリー」だが、出演者よりも謎が見どころなのだという姿勢が明確だ。二宮和也さんや多部未華子さんら豪華出演者のファンだけでなく、きちんと考察好きな視聴者の心をつかんでいるようである。

「元彼~」以外にも、今期のドラマで「男女バディの非恋愛もの」は苦戦している。「インビジブル」「パンドラの果実」。幼なじみへの両片思い要素はあるものの「金田一少年の事件簿」もよく批判されている。ほとんどが「元彼~」同様、ホームズとワトソン型というか、エキセントリックな頭脳派&地に足のついた感情派という凸凹コンビ。使い古された関係設定だけに、新しい魅力を描こうと思うと、リアリティーや説得力に欠けた展開になってしまうのかもしれない。

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