500万円? それ以上? 新幹線グリーン券詐欺乗車「元国会議員」の余罪はどこまで膨らむか?

国内 社会

  • ブックマーク

立憲民主党の常任顧問だった

 現職の国会議員になりすまして新幹線のグリーン券をだまし取ったなどとして、詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで4月27日に起訴された元参院議員の山下八洲夫(やすお)被告(79)。国会議員に与えられる、公務なら新幹線などが乗り放題の鉄道乗車証(JR無料パス)が悪用された格好だ。

 高校3年生時に日本社会党に入党した山下被告は、1983年に旧岐阜2区から旧社会党公認で出馬して初当選。4期務めた後、1998年の参院選に旧民主党から公認を受けて岐阜選挙区から出馬して当選。衆参両院で通算6期25年の議員生活を送り、2013年には旭日重光章を受けている。

 2018年6月の立憲民主党岐阜県連発足時には代表となり、事件前まで常任顧問に就いていた。

「胸に議員バッジのように見えるものを身につけた山下被告は、駅の窓口で自身の期限の切れたパスを提示し、申込書には同じ岐阜出身の自民党参院議員の名前を記していました。山下被告は東京~名古屋の往復チケットを申し込んだのですが、駅員が2枚とも名古屋行きの券を渡してしまい、JR側が申込書にあった議員に連絡したところ、偽装が発覚しました」

 と、担当記者。

余罪の追及に積極的

 発覚を知らない山下被告は発券されたチケットのうち1枚を使って名古屋まで向かった。後日、名古屋駅のホームに現れ、東京行き「のぞみ」グリーン車の乗車位置に並んでいたところを警戒中の私服捜査員に声を掛けられ、御用となった。

「山下被告は2010年まで参院議員だったわけですが、2008年度分の無料パスを紛失したと参院側に申告し、返却していませんでした。今回これを悪用したものと見られています」

 と、先の担当記者。手口から見て1度きりの過ちではないと見るのは自然なことだろう。

「捜査を担う愛知県警は余罪の追及に積極的です。山下被告は5年以上前から知り合いが経営する東京都内の企業で役員を務めており、そのために月に複数回、この無料パスを使って東京~名古屋間を往復していたと県警は見ているようです」(同)

 ちなみに、役員を務めていた企業からは交通費が支給されていたという情報もある。

「仮に過去5年以上にわたって月に2回、東京~名古屋を往復し、それを全てパスでただ乗りしていたとすると、500万円分近くを不正乗車した可能性もあるということになり、それが立証されれば、実刑は避けられないと見られます」(同)

 議員ではなくなった2010年直後からの常習犯だとすれば、さらに金額は増えることになるのは言うまでもない。そもそもこういう人物が、他の路線では一切不正使用していないなどということがあるのだろうか。

次ページ:立証の壁も存在する

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。