息子は職員から“虐待”を受け、家に帰りたいと懇願する手紙も…児童相談所に自ら助けを求めた40代シングルマザーの後悔

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〈早急に退所させてください〉

 ここに、徹くんが、施設から沙織さんに送った直筆の手紙がある。便箋1枚に、手書きの文字でつづられた手紙は、〈お母さんへ〉という言葉で始まる。

〈早急に退所させてください。今、僕の施設の中では、職員が足らず、僕のいるユニットでは、そのせいで、十分な対応を子どもに取れておらす、大変です〉(原文ママ)

 その文面は、紛れもなく助けを訴える内容だった。しかし、沙織さんがこの手紙をYさんに見せたところ、「自宅に直接連絡してはいけないルールです。これは無視してください」と述べ、徹くんの訴えに耳を傾けることはなかった。

 児相の手によって引き離された母子は今後、どうなるのか。

「児相からは“中学を卒業するまで、措置を解除するつもりはない”と言われたこともあります。いまのところ、いつ息子が帰ってくるのか、見通しはまったく立っていません」(沙織さん)

 これまでに沙織さんは通院して体調を回復させ、カウンセリングも受けて、あらためて息子と向き合う準備を整えた。経済的な問題もなく、なにより徹くん自身が施設を出ることを望んでいる。それにもかかわらず、港区児相が措置を解除しないのは、あまりにも不合理な判断のように思える。

 沙織さん自身は、児相関係者から「港区児相が措置を解除しないのは、予算確保のための実績がほしいからだ」と耳打ちされたことがあるという。高級ブランド店が並ぶ南青山の一角にある港区児相をめぐっては、開設前、周辺住民から「一等地にふさわしくない」と反対意見も出ていた。“迷惑施設”の汚名返上を期した実績づくりのために、沙織さん母子は1年半も離ればなれにされているのか。港区児相は、徹くんの措置を解除しない理由などについて取材を申し込むと、「個別ケースについては回答できない」と言うのみだった。

デイリー新潮編集部

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