転職準備は40代で始めないと手遅れ 「70歳定年延長法」が加速させる大リストラ

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やはり大切な資金のキープ

 他にコミュニケーションスキルも欠かせません。年を取ると、どうしても話が長くなる、声も不明瞭になり、態度も横柄になりがちです。だから、Clear(はっきりと)、Concise(簡潔に)、Courteous(丁寧に)の3Cを文章でも会話でも心がけて、訓練することです。年下だろうが元部下だろうが、「さん」づけで敬語を意識して話すようにしましょう。

 それからシンプルに、お金を貯めることです。転職するにしても、会社に残るにしても、いざという時のために資金をキープしておくことが大切です。「老後2千万円問題」がクローズアップされましたが、いくら必要かは人によって違います。生活費の差異があるため十把一絡げには言えません。

 いま、貯蓄はどれくらいか。退職金はもらえそうか。また、年金はいつ頃からいくらくらいもらえそうか。こうしたことを見極めると、自分にはいくら必要なのか、人生後半の資産運用の計画も見えてくる。こうした準備は早くから始めるに越したことはありません。

 最後にひとつ言いたいのは、仕事の良しあしを決めるのは会社の規模や名前ではないということ。私はバリバリ働いていた頃より、いまの小さな会社で自分のペースで仕事をしているほうが幸せですし、毎日が充実しています。

(取材・構成 芹澤健介)

郡山史郎(こおりやましろう)
株式会社CEAFOM代表取締役社長。1935年生まれ。一橋大学卒業後、伊藤忠商事、ソニー、米シンガー社を経て、ソニーに再入社。同常務取締役、ソニーPCL社長、同会長等を歴任。2004年に経営幹部を紹介する会社CEAFOMを設立。著書に『定年格差』(青春新書)など。

週刊新潮 2022年5月26日号掲載

特別読物「勝負の分かれ目は40代 『70歳定年延長法』が加速させる大リストラ」より

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