NHKが兵庫県警記者クラブから“追放”された! 知床遊覧船遺族と加盟他社を激怒させた理由とは
遺族がクレーム
個別取材の際、Aさんは遺族向け説明会などで得た情報を資料とともにB記者に託した。その際に「これは全社で共有してください」と伝えたとされる。だが、NHKは5月5日、その資料をもとに「KAZU I」は以前から不適切な運航をしていたという独自ネタを出すのである。
その後、Aさんが県警クラブ所属の別の社に「なぜ全社向けに渡した資料をNHKが独自で報道しているのか」とクレームを入れたことで、他社はNHKの“抜け駆け”を知ることになる。Aさんの動きを察知したのか、NHKは5日午後8時、報道の元となった資料を記者クラブに「出元不明の資料」として配布したという。
「他社が怒ったのは、抜かれたからではありません。ご遺族の心情を考え、みんなで話し合って代表取材としたのに、NHKが立場を利用してご遺族を裏切ったからです。しかも、NHKは幹事社だった。その後の対応もふてぶてしいもので、いくら説明を求めても、『取材に関するプロセスは言えない』などと説明責任を果たそうとしない。キャップ同士の話し合いではらちがあかず、支局長クラスでも話し合いが持たれましたが、最後まで納得する説明がなかった」(前出・デスク)
NHKは回答せず
そして、“追放”が決まったというのだ。兵庫県警記者クラブは「デイリー新潮」の取材に対して、
「県警記者クラブの取り決めに反する行為があり、適切に対応しました」
とだけ回答。NHKにも取材を申し込んだが、期限までに回答はなかった。B記者が兵庫県警記者クラブに所属していなかったことに、話がこじれた原因がありそうだが、NHKの取材に遺族に寄り添う姿勢が欠けていたとは言えるのではなかろうか。
追記:記事の配信後、NHK広報局から下記の回答があった。
「取材・制作の詳しい過程や記者クラブでのやりとりについてのお答えは控えます。事故の報道にあたっては、引き続き、ご遺族の気持ちに十分配慮しながら、取材・制作を進めてまいります」
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