岸田総理、就任後初のロングインタビュー 櫻井よしこが斬り込む「改憲」「核」「中国」

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政権に好意的なメディア

岸田 いやいや、そう甘くはないでしょうけど、参院選でも憲法改正は公約の一つに掲げて戦います。これまでは党利党略で国会議論がなかなか進まなかった部分もありましたから、やはり世論が大事ですね。政府の立場ではストレートな働きかけが難しいので、党の憲法改正実現本部が中心になって国民に訴え、世の中の雰囲気が変われば政党政治家と国会の議論を動かすことになる。この二つがそろえば改正への道筋が見えてくると思っています。

櫻井 中曽根内閣で官房長官を務めた後藤田正晴さんを取材した折、なぜ改憲しないのか尋ねたら、「国民に任せてはおれない」と口にされたので、私は「民主主義の否定だ」と、ちょっと気色ばんだ。すると後藤田さんは、「君のような、生意気な女がいるから駄目なんだ」と(笑)。実際、国民からすれば、どうして憲法改正の発議をしてくれないのか。国民は信頼されていないのか。そのような思いがあることを、お伝えしたいと思います。

岸田 はい、それは重く受け止めます。憲法は日本の法典の中で唯一、国民投票が規定された法典であるにもかかわらず、いまだ一度も行われていません。自らの憲法だ、国民の憲法だというのであるならば、やはり国民の意思表示というものは大切にされなければいけない。

櫻井 最後にお尋ねしますが、冒頭で私が総理は穏やかなイメージをお持ちだと申し上げたら、必ずしもそうであるか分からないというご趣旨のことをおっしゃった。しかし岸田政権はメディアによって好意的に報道されています。結果、支持率が好調な点をどうお考えですか。

岸田 いや、厳しく批判をされていると受け止めていますが(笑)。

平時でなく「非常時」

櫻井 総理はご自身のどのような資質がメディアを、そしてその延長線上で国民を安心させていると自己分析しておられます?

岸田 安心していただいているのかどうか分かりませんが、あえて言えば、新型コロナやウクライナ情勢などの対応でも、さまざまな政策が国民のためになるのかどうかを考えるのが重要なポイントだと意識しています。その上で、どう評価していただくかは皆様にお任せするしかありません。

櫻井 今は平時ではなくて「非常時」です。しかし総理が“ドイツのように日本も変わらなきゃいけない”と感じておられるかは分からない。ドイツがインド太平洋に艦船を送ったことの意味を読みとって、日本国を大きく変えていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

岸田 ありがとうございました。こちらもいい勉強をさせていただきました。

週刊新潮 2022年5月26日号掲載

日本ルネッサンス1000回記念対談「『岸田総理』直撃100分! 『櫻井よしこ』が問う『ロシア』『中国』『核』『憲法』」より

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