老年医学の権威が明かす「脳の若返り」メソッド SNSの活用法と“高齢者ならでは”の勉強法とは?
何を始めるのにも重要な読解力
ただ、その際も日本人の悪いクセが頭をもたげがちで、「自分の長所と短所を書いてみてください」と伝えると、短所ばかり書く人が多いのです。短所を洗い出し、埋めていく作業をしてきた人が多いからかもしれませんが、これを機にぜひ長所を探してください。
たとえば、会社でKYだと思われてきた人も、裏を返せば人と違う考え方ができるわけで、短所もあらためて検討すると、長所になったりするのです。
こうして自己分析を重ねた結果、好きなことや得意なことが見つかれば、それを勉強していけばいいのです。高齢になったら、あえてつまらないことや面倒なことをする必要はありません。その逆で、自分の欲望に正直になったほうがいい。欲望があればこそ人は自発性や向上心をもち、自発性や向上心があればこそ、行動に移せるからです。
ただ、なにを始めるにも読解力は必要です。いまの70代前後の人は、日本人の中学生までの学力が世界一、二を争っていた世代。つまり、基礎学力は十分に身に付いているはずです。それでも自信がない人、アウトプットの際にうまく表現できないという人は、あらためて読解力を身に付けることをお勧めします。
中学受験用の国語の問題集や、高校生向けの小論文の問題集に取り組むのがいいと思います。年だからうまく話せない、本の内容がよく理解できない、などとあきらめることはありません。基礎学力、読解力を学びなおせばいいのです。
学者にエネルギッシュな人が多い理由
さて、勉強して脳の若さを維持できれば、意欲が湧き、エネルギッシュでいられます。その証拠に学者は、スポーツをバリバリやっているわけでもないのに、元気な人が多いです。反対に、前頭葉の萎縮が進んでいる人は、意欲をどんどん無くしてしまいます。
男性の場合、男性ホルモンの分泌量の低下についても注意してほしいです。特にその一種のテストステロンは意欲に深く関与し、なかでも集中力や判断力、好奇心などの高次精神機能に深く関わっています。だから意欲を維持するには、テストステロンの分泌量を保つことも欠かせません。
そのためには、日本ではタブー視されがちな性的刺激が有効です。だから「年がいもなく」などと気後れしないで、女性のいる華やかな店でアウトプットを試みてもいいのです。
身体機能が衰えると脳機能にも影響する、ということも、認識しておいたほうがいいでしょう。
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