好調「金曜ロードショー」の裏で……人知れず「崖の上のポニョ」の不運

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キラーソフトが1桁に

「新作だからと言って、すぐに放送できるわけではありませんし、放映権にはお金も掛かる。洋画には吹き替えも必要ですし、新作なら数字が取れるというわけでもありません」

 そんな中、「金曜ロードショー」の強みと言えば、宮崎駿監督に代表されるジブリ作品の放送である。

「スタジオジブリの最新作が公開されたり、夏休みの時期になると、過去のジブリ作品を放送するのが恒例となっています。DVDが発売されているにもかかわらず、地上波の再放送で人気のコンテンツです。特に宮崎監督の作品は、公開から何年経っても確実に2桁視聴率が見込めるキラーソフト。日テレで『金曜ロードショー』という映画枠が生き残っている要因のひとつと言っていいでしょう」

 宮崎駿監督作品がこれまで日テレで放送された回数がスゴイ。最も多いのが「風の谷のナウシカ」(84年)で19回も放送されている。第2位は17回で、「ルパン三世 カリオストロの城」(79年)、「天空の城ラピュタ」(86年)、「となりのトトロ」(88年)の3作。これらの作品はいずれも、最近の放送でも視聴率2桁をキープしている。

 ところが、そんな宮崎アニメに異変が起きた。5月6日に放送された「崖の上のポニョ」が8・6%に終わったのだ。

高橋側に断られた

「放送の約2週間前、4月23日に、北海道の知床半島で観光船の沈没事故が起こりました。『ポニョ』には津波シーンや船が沈む描写があるため、ネット上でも“不謹慎”という声が上がり、局にも“知床の水難事故を想起させる”“海が荒れて船が沈むなど子供が怖がるので、いま放送すべき映画ではない”といったクレームが寄せられました。知床の事故の影響もあって、チャンネルを変えた視聴者も多かった結果でしょう」

 日テレは観光船沈没事故を受け、5月1日に放送予定だったドラマ「金田一少年の事件簿」の第2話「聖恋島殺人事件 前編」を放送延期にしていた。では、なぜ「ポニョ」を延期しなかったのか?

「すでにネットニュースでも報じられていますが、5月6日はジブリ作品の『耳をすませば』(95年・近藤喜文監督)を放送する予定でした。この前週の『魔女の宅急便』(89年)と併せて、2週連続でジブリ作品を放送することは、事前に発表もしていました。ところが、4月6日に『ポニョ』に変更することを発表したんです」

 ネットでは「耳をすませば」で声優を務めた高橋一生(41)が、同時間帯のドラマ「インビジブル」(TBS)に出演しているので、裏被りだったためだと報じられている。

「結果としてはその通りなのですが、日テレは高橋の事務所に許可を求めたそうです。作品は20年以上前のもので、声優を務めたときはまだ声変わりもしていない頃ですからね。『インビジブル』で主演している現在の高橋と声だけの出演のアニメ映画とは、視聴者層も異なるので問題はないと考えたようです。しかし、事務所はOKを出さなかった。そこで急遽、作品を差し替えなければならなくなったのです」

 なぜ「ポニョ」だったのか。

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