51作の長期シリーズに…ヤクザを描くVシネマ「日本統一」はなぜ人気なのか

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4つの人気の理由

■人気の理由1 ゲームを観戦する気分で観られるから

 氷室と田村は抗争によって相手の組織を潰したり、川谷や氷室が相手の組織のトップと親子盃を交わしたりすることで侠和会の勢力を広げていく。大阪、岐阜、名古屋、四国、東北、中部、九州、広島、沖縄、北陸……。拡大の一途だった。

 侠和会内の2度の内部抗争も片付けた。手こずることもあるが、結果的には連戦連勝。まるで無敵のプレイヤーによるバトルゲーム、戦国ゲームを眺めているような気分になる。

 また、氷室の男気に惚れた大物ヤクザらが次々と兄弟分になり、助けてくれるところもゲームっぽい。

■人気の理由2 氷室と田村による抗争で一般市民は迷惑をこうむらないから

 抗争による死者、負傷者はヤクザかヤクザの協力者に限られている。一般市民が巻き添えを食うことはない。ここが「仁義なき戦いシリーズ」(1973年~74年)など過去の実録路線映画や旧来のVシネマとは大きく違うところ。

 そのうえ氷室と田村のターゲットとなるヤクザは仁侠界のルールを破ったり、一般市民に迷惑をかけたりした者に絞られている。2人はファンタジーの仁侠界にしか存在しないヤクザなのだ。

 そもそも仁侠界の日本統一を目指す理由も「抗争をなくすため」。リアリティに乏しいものの、だから受け入れやすい。

■人気の理由3 氷室と田村が一般市民を守るから

 2人はファンタジー界のヤクザなので一般市民をリアルなヤクザたちから守ってくれる。ヤクザが関係する手形パクリ、暴力金融、地面師などから市民や企業を救う。報酬が得られることもあるが、自分たちから要求することはない。

 ヤクザ作品でありながら、ヒーロー作品のように仕立ててある。

■人気の理由4 ヤクザと財界、政界の関係を遠慮なく描いている

 抗争で一般市民が被害を受けないところなどは現実離れしているものの、ヤクザが絡む手形パクリの方法や地面師の手口などは極めてリアル。実際の事件を想起させる。「これ、本当にフィクション?」と思わせる。

 ヤクザと政治家の関わり方もまた真実味を帯びている。例えば政治家はヤクザを利用し、カジノ反対運動を抑えつけようとする。

 一方、ヤクザは政治家の弱みを握ったり、巨額の献金をしたりして、その動きを牽制する。あくまでフィクションだが、テレビドラマでは描けそうにない――。

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