年内復帰宣言のGACKTは「一流」芸能人か炎上芸人か リアリティー時代でミステリアス売りを続ける違和感
あなたの生活水準は、上中下でいえばどのあたり? 内閣府が実施した令和3年の世論調査によれば、国民の9割が「中」と答えている。格差社会といわれて久しいが、その割にみな自分は「中流」という意識があるということだ。
では、何をもって上流とするのか。人によって基準は違う。ただし一つの答えを出したのが人気番組「芸能人格付けチェック」である。一流とは本物を見抜く目をもっている人のこと。視聴者も挑戦しやすいシンプルなルールで好評を博し、昨年の正月は最高視聴率を記録した。大御所含めた数々の有名人が撃沈する中、注目されたのがGACKTさんである。
日本人離れした容姿に、謎めいた私生活。着実に正解を選び続け、昨年は個人65連勝という記録を打ち立てた。気取ったナルシストかと思いきや、中身もホンモノだったと評価は急上昇。GACKTさんの「一流」ブランディングに大いに役立った番組といえるだろう。
一方で、連勝が彼のうさんくささに拍車をかけた面も否めない。仮想通貨の広告塔を務めたこともあって、セレブな生活の資金源に首をかしげる視聴者は多かった。本人によれば不動産ビジネスの収入が大きく、YouTube等の配信事業も成功しているようである。が、今までの過剰な神秘性があだとなってか、ヤラセやブラックマネー疑惑がなかなか晴れない。
GACKTさんの格付けバブルは、ネオヒルズ族やYouTuberの台頭とも重なる。世界の富裕層による税金隠しを告発したパナマ文書のリークなど、「モラルのない金持ち」への嫌悪感が高まった2010年代だ。「いくらお金持ちでも中身がきちんとしていないと」という風潮を受けてか、「格付けチェック」に限らず、目に見えない「中身」でタレントを測ろうとする番組が目立つようになった。
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