テレ朝「警視庁・捜査一課長」に異変 悪ノリしすぎで逆効果との声
気が散って集中できない
谷保:奥さんを亡くしてからの奥野は、本当に見ていられませんでした。心に大きな穴が空いたようで、感情が顔に出なくなり、言葉も抑揚をなくして、まるで棒のようでした。
小山田:それが奥野が棒になった秘密ですか?
――大きく頷く大岩。
谷保:それで美月さんを紹介したら、美月さんが奥野を俳句教室に誘ってくれて、奥野は美月さんのおかげで徐々に感情を表に出せるようになったんです。
大福:あれでも感情、出せるようになってたんだ。
「“棒演技”を逆手に取ったつもりなのかもしれませんが、ナイツ塙の棒は話題にはなっても、ドラマの主軸にはなり得ません。昔からのファンからすれば、見ちゃいられない。さらにこの日は、かつての奥野が熱血刑事だったと回想するシーンで、塙が錦鯉の長谷川雅紀(50)を取り調べるシーンまで出てきました。塙が『いい加減にしろ! いい年こいて恥ずかしくないのか!』と怒鳴るのですが、とても熱血には見えない棒っぷりでした。お笑い芸人の安易な起用もマイナス材料でしょう。ちなみに錦鯉・長谷川が取り調べられたのは、ニシキゴイ17匹を盗んだ容疑でした。ここまでされると、ドラマファンは気が散って集中できません。『捜査一課長』の視聴者は、高齢層が多いのですからなおさらだと思いますね」
これをきっかけに、「捜査一課長」の数字は落ちたというわけだ。
若返りを狙って空回り
「不要なギャグは徐々に増えてきましたが、今期は特に多いと思います。例えば、ダジャレを効かせた役名とキャスティングです。第1話と第2話のタイムトラベラー殺人事件では、タイムトラベラーズ社長夫人に時岡江留奈(ときおかえるな)、第3話のスーパーの惣菜係“コロッケの女神”に揚田温子(あげたあつこ)、第5話の一発屋殺人では小島よしお(41)が太平洋和を演じましたが、これは“オッパッピー(Ocean Pacific Peace)”をもじったものでしょう」
大岩一課長が第一報を受けるシーンも疑問だという。
「電話で報告を受け、現場に向かうわけですが、例えば第4話では、『なに!? 辞世の句をパクったご遺体が? わかった、すぐに臨場する!』で現場に直行していますが、その電話で何がわかったのか。そんな報告ばかりになってきて、『そんな報告じゃわからん! しっかりしろ!』とでも言うべきです」
なぜヒューマンミステリードラマは、“ギャグドラマ”になってしまったのだろう。
「経年劣化に抗っているのでしょうが、やり過ぎではないでしょうか。木曜ミステリー枠は『科捜研の女』も放送されましたが、今秋から若向きに改編されるといわれています。スタッフも何とかしなきゃと考えてやっているのでしょう。でも、何だか空回りしている気がしますね」
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