「過度な自粛こそがリスクだ」 音楽フェス主催者が語る「こんなご時世に佐賀・唐津でフェスをやる理由」
タブーとなった「音楽フェス」
感染対策については、「基本的なものはやる」という判断だろう。一方、昨年のNAMIMONOGATARIについては「マスクをしない客がいた」などと大ブーイングに遭ったが、これについてはどう考えているのか。今の時期の音楽フェスについては、最大の懸念である。
「推奨される対策、つまり入場時には検温、消毒、マスクの着用は義務づけ、野外とはいえ声援をあげないといった会場内でのマナーもお願いすることで万全な状況で実施できると思っておりました。何より過度に自粛することの方がリスクだと、官民問わず合意できたことが大きかったと思っています。何もしない、未来を描かないことのほうがリスクだと皆の認識が一致した次第です。結果的に野外で一定距離を確保できればマスクを外すことが推奨されるなど流れは変わってきているのが事実です」
前述の通り、ロック・イン・ジャパンが2021年に茨城県の医師会の反対により中止に追い込まれたことからもわかるように、地方では「音楽フェス」というキーワード自体が禁忌の如き状態になっていた。元々「遠くから大勢がやってきてやかましい」といった批判は大規模イベントには付き物だが、2020年以降は、都会から地方へ人が移動することは恐怖の対象になってきたのだ。
今回、実施に至るまで、どの範囲の関係各者の合意を得たのか。また、反対意見にはどのようなものがあったのか。
1年前倒しの開催のワケ
「上述の通り、自治体も民間も地域住民もほぼ全員と言っていいほどの合意を得ています。これはそのために何度も説明会を開くなど丁寧に対話を積み重ねた結果だと思っています。実は当初、来年・2023年に向けてプロジェクトを開始したのですが僕らが思っていた以上に地域の皆様の熱量が強くて1年前倒しの開催となりました。それによって慌てて2月の開催発表となったために十分な準備時間が取れていないので反対意見というより、むしろ出店、支援などの準備期間がなさすぎとのお叱りを受けている次第です」
今回運営に携わるのは162人のボランティアスタッフ。唐津の音楽事情やライブハウス事情に詳しく、自身も「叫人フェス」を運営する山崎幸治氏もボランティアのメンバーだ。KSCの構想が発表された時は大喜びした。
「唐津の音楽シーンに革命が起こると感じましたね。唐津のイベントの歴史上、これほど
知名度の高いアーティストさんが集結した事は無いとの事ですからね。私は全国各地から参加して頂くボランティアの方々が、円滑かつ楽しく業務を実行してもらえるように準備を整えるチームに属しています」
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